no.63
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あっという間に日は過ぎて、とうとう聖桜祭。
一応これまでの聖桜祭通り、体育館や校庭、特別教室を使った部の発表もあったり、クラス毎の催しもあったりする。
それを楽しみつつ、題して「愛を逮捕しちゃうぞ」企画が行われた。
次々と手錠を取りに来る生徒が生徒会室にやってきた。
それぞれに手錠とヒントの書かれた紙を渡していく。
10時を過ぎた頃、少し息がつけた。
「皆、すごいね。手錠掛けられる人、かわいそー」
私は窓から外を見て、慌てて逃げてる人を見つけた。
「でもあの子達、楽しんでるわよ。ほら、二人離れて逃げればいいのに、手を繋いで逃げてる。捕まえてって言ってるようなもんね」
川上先輩が横に来ていった。
「本当だっ」
くすくすっ。
みんな体育祭同様、楽しんでるんだよね。
「アリス、これ、4人からのプレゼントよ。今日1日二人で生徒会室なんだもんね。だから愛のお守り」
手作り風のお守りを山内から手渡された。
なんだか嬉しい。
こんな風にされると涙出ちゃいそう。
「では、愛の救護班1回目の見回りに行ってまいります」
「私達もぉ」
そう言って4人は出ていった。
けれど、すぐに戻ってきた。
「どうしたんですか? 先輩たち」
な、なんか嫌な予感。
みんなニヤニヤしてる。
「アリス、逃げろっ!!」
えっ、えっ、な、なにぃ~~~~~!!
と慌てている間に腕をガッシと掴まれた。
「逮捕したわよぉ」
「おー、こっちもだ」
えっ、えっ???
「おとなしくしろ。学校一の羨ましいカップルを見逃すと思っているのか」
高田が言った。
私は川上と山内に引っ張られて、高田と大里に捕まっている宮川の横に連れてこられた。
「ほれ、たいほっ!!」
カシャ、カシャ。
うっ、うっそ~~~~~~っ。
宮川と私の手に手錠……。
しかもなんでこれだけ金色なのよ。
皆、銀色のおもちゃの手錠なのに。
「特別製なの。あなたがたにはヒントはないわよ」
「規定時間の4時までに鍵が見つからなければみんなの前でキスだからね~、アリスっ」
川上と山内がニヤニヤしている。
な、なによぉ、これ。
「おまえらなっ!」
宮川が口に手を当てて叫んだ。
お~、相当怒ってる。
「あっ、もう逮捕されちゃったんだから怒っても無駄。金の鍵探そうね」
「それからここは私と大里君が番するから。救護班一組はうろうろしないでここにいたほうが緊急時にいいと思うのよ」
「というわけで、基樹、アリス、がんばってくださ~い」
「ヒントなしでどうやって探すんだよ!」
「さぁね~」
みんなニヤニヤして、こんないたずらしてくれちゃって。
こんなのないよぉ。
「ったく、おまえらのやることは……」
「早く探さないとキスですよぉ」
「ちゃんとお二人に分かるように隠しておきましたよ。がんばってください」
結局私達は生徒会室を追い出された。
「先輩、どうしてくれるんですか。先輩がこんな企画立てちゃうからですよぉ」
「んなこと言ったって、仕方ないだろ。探すしか」
もぅ、早く見つけなくちゃ。
トイレにも行けないじゃないよぉ。
「さて、探す前に喉乾いたから、俺のクラス行こう」
「えっ、なんで」
「喫茶やってるんだ。なんか飲んで一休みしてから探そうぜ」
「え~っ、これで?」
そう言って腕を持ち上げた。
先輩の腕、重たいよ!
「皆してるから、そー、目立ちゃしねーよ」
「充分目立つと思います。これ金色……」
はぁ~~~~~っ。
当然のごとく、あちこちからの冷やかしの声。
宮川のクラスに行って飲み物を飲んだけど、落ち着いていられなくて一気に飲み干して教室を出た。




