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ありす☆らぶ  作者: 湖森姫綺
56/156

no.56

 ******



「すみませんでした!」


 コンビニで買ったお弁当で途中のんびりお昼して、家に着いたのは夕方だった。

 そして玄関を入るなり、宮川は迎えに出てきたパパとママに頭を下げた。


「どうしたの、宮川君」

「アリスが背中に怪我して」


「まぁ」

「なんでそんなことに?」

 パパが聞いた。


「いや、あの風呂場で……」

「じゃ、君が謝る必要はない」

「そうよ。お風呂場まで宮川君の監視は届かないもの」


 そ、そりゃそうだ。

 ……事実は言えない。


「君は荷物、置いてきなさい。アリスはリビング」

 パパはムスッとして言ってリビングに入っていってしまった。


「いやぁね、パパったら。怒ってるように見えるけど、本当はほっとしてるのよ。もうキャンプって聞いてから大変だったんだから。女の子なのに危ないって。早くリビングいって安心させてあげなさい」


「うん」

「じゃ、俺、荷物置いてきます」


「すぐいらっしゃいよ。食事用意してあるから」

 リビングに入るとなぜかテーブルの上に救急箱。


「アリス、傷、見せなさい」

「えっ、大丈夫だよ。ちゃんと手当てしてあるし、もう痛くないもん。たいしたことないし……」

「ブツブツ言ってないで見せる!」


 逃げ出そうとして後ろから服を掴まれた。

 な、なに。

 もう大丈夫だって言ってるのにぃ~~~。


「アリスちゃん、パパにちゃんと見てもらったほうがいいわよ、ね」

「や、やぁ~」


 長袖のジャケットが脱げて、逃げられると思ったけど、Tシャツをしっかり掴まれてしまった。


「もう、アリスちゃんったら怖がりなんだから。パパは元お医者さんなんだから、ね」

「だって、だって、もう大丈夫だってばぁ~」

 痛いのは嫌だ……!


「こら、ふざけてるんじゃない」

「やだっやだぁ~~~~~!! 先輩、助けて、先輩!!」


「おまえな……っ」

 パパがグイッと服を引っ張った。


「先輩がいい。パパじゃやだ。先輩がい~、せんぱ~い!!」

 階段をダダダッと降りてくる音が聞こえた。


「どうしたんですか?!」

 リビングに入ってきた先輩、目を白黒させている。


 げっ、胸ぎりぎりのところまでTシャツが持ちあがっていた。

 しかもノーブラだし。


 で、でもそれどころじゃない。

 痛いとこ、触られたくない。

 逃げなくちゃ!!


「先輩、助けて、痛いのいやだよ。いやだぁ~~~」

 宮川は顔に手を当てて、困った顔していた。


「いい加減にしなさい、アリス!!」

 パパのマジで怒った声が響いた。


「ふぇ~ん、だって痛いのやだぁ。パパじゃやだぁ。先輩がいい……」


 うぇっ、うぇっ……。

 涙が出て、止まらない。

 こんなに騒いでる自分がバカみたいだけど、でも先輩がいい。


「仕方ない。宮川君。こいつを押さえてろ。とりあえず傷の状態だけ見せてもらう」

「……はい……」


 結局ソファーに座った宮川に抱きつく形で傷をパパに見せた。


 ペチンッ。

 背中を叩かれた。


「こんな子供でも舐めときゃ治るような傷で大騒ぎするんじゃない! まったくばかばかしい。もう薬もつけなくても大丈夫だよ」


 パパがドサッとソファーに座るのがわかった。

 もう触られないですむ。


「さっさと服を着なさい。嫁入り前の娘が!!」

「えっ?!」

 げっ、上、片方の腕抜いて、体半分丸だし……!!


「ほら、アリスちゃん、着て」

 ママに袖を通してもらった。


「着替えてきましょう、アリスちゃん」

「うん」

 部屋に行って、ママに着替えを手伝ってもらう。


「前開きのほうが着替えやすいでしょ。それにしてもさっきのはパパ、傷ついちゃったわよ」

「うん……」


「パパはいや、先輩がいいだなんて」

「うん……」

 思わず叫んじゃったけど、パパには悪かったと思ってる。


「それにしてもアリスちゃんは本当に怖がりね。まぁ、ママにも責任はあるんだけどね」

「えっ?!」


「小さいときにね、あなたがちょっと怪我したっていえば大騒ぎして。熱がちょっと出たって言えば慌ててパパのところに連れていって。いつも怒られてたわ。母親がそんなにおろおろしたら子供はもっと怖がるって。元看護婦なのにダメよねぇ。あなたのことになると全然しっかりできなくて」


「ママ……」

「だからママにも責任はあるの。でももう少し大人になろうね」


「うん。ごめんなさい」

「さぁ、食事にしましょう」

「うん」


 ところがリビングに行くとなんとパパと宮川はブランデーを飲んでいた。


「な、なにしてるの、先輩!!」

「いや、お父さんが一緒にやろうって」


「いーじゃないか。あはははっ」

「だって先輩は未成年なんだよ。お酒なんて飲ませちゃだめ!」


「少しはいけるっていうんだから、いいさ、な、宮川君!」

「はい」

 な、なんなのよー。


「アリスちゃん、いいからこっちいらっしゃい。先に食事しましょう」

「でもママ……」

「さっきのショックだったのよ。パパなりに……」


 私が言ったこと? 

 でも先輩にまでお酒、飲ませなくったっていいじゃない。


 私はママに促されて食事をはじめた。

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