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ありす☆らぶ  作者: 湖森姫綺
51/156

no.51

 そっとうつぶせに寝かされて視界が開けた。

 薄暗いけど、さっき服を脱いだ脱衣所だよね。


「これ、おまえのだな」

 そう言って私の背中にタオルをかける。


 そこ、痛いんだよ、先輩。

 なんで痛いの?

 ね?


「ちょっと待ってろ。今、俺の服、持ってくっから」

 なに、どうしちゃったの?

 みんなは?


 いっ、痛い!!

 背中の激痛にやっとしっかり目が覚めた。


 お風呂でキスされて、力抜けて岩から滑り落ちて……そう、お湯の中にドボンだったんだ。

 でも背中が痛いのってなんで?


 動こうとするとひどく痛い。

 怪我してるの?


 宮川が走りこんできた。

「アリス、大丈夫か?」

 上半身裸のままの宮川が立っていた。


「先輩、痛いの。背中が……すごく痛いの……」

 涙か溢れた。


「ああ、切れてるんだ。ちょうど滑ったところにガラス片があった。すまない、アリス」

「ううん。先輩のせいじゃない。でも痛いよ~」


「動けるか。服、着ないと……」

「う、痛い……」

 宮川は私の洋服を棚から下ろして……。


「ごめん、ちょっとじっとしてろ。今、着せちまうから」

「いいよ、自分で……うっ」


 動こうとして痛みを堪えられなくなった。

「動くな、我慢しろ」


 恥ずかしいよ。

 下着まで着せてもらうのなんて……でも動けない。


 う~~~~っ、痛いよ。

 ブラをしてもらうのに腕を動かしたらズキズキする。


「ごめんな、でもこれで傷口タオル当ててるの外れないようにできるから、少し我慢してくれ」


 どうもブラの紐の下にタオルを当てているらしい。

 Tシャツを着せられてショートパンツもはかせてくれた。


「よし、さて、どうやったら痛みなく抱けるかな……アリス、俺の首にしがみ付けるか?」


「うん……」


 腕を動かすと痛い。

 でもこのままじゃどうにもならないよね。

 先輩の言うこと聞かなくちゃ。


 私は宮川の首に抱きついた。

 でも腕に力なんて入らない。


「よし、持ち上げるぞっ」

 そう言って私の体ごと持ち上げた。

 一瞬激痛が走って、宮川の首に回した腕に力が入る。


「ごめん、痛かったか。とにかくテントに戻ろう」

「先輩、みんなは?」

「もういねーよ。ったく。そっと歩いてやるから少し我慢しろよ」


 脱衣所を出て、歩き出した。

 頭の上にタオルが掛けられた。


「髪、拭いてやるの忘れたな。冷たくないか」

「うん」


「しかし参ったな。手当てするにも何もない。管理棟はもう締ってるだろうし……」

「私のリュックの中に救急箱入ってる」


「えっ?」

「ママが何かあったら困るからって入れたの。だから……」

「よし、じゃそれ使うか」


 ママに感謝。

 出かけるまで大騒ぎだったんだよね。

 山だなんて危ないだの、テントなんて危険だの。

 絶対料理には手を出さないで他の人にやってもらいなさいだのと。


「入るから、かがむぞ」

 あっ、もうテントに着いたんだ。

 ゆっくり下に降ろされた。


 痛い……!!

 宮川は手際よく寝袋を広げた。


「ここに横になれるか? うつ伏せになって」

「う゛~~~~~」


 痛みを堪えてうつぶせになる。

 右肩の下のほうがものすごく痛い。

 そこに傷があるんだってわかった。


 ガサガサと宮川が私のリュックから救急箱を取り出した。

「すっげーな、しっかり入ってんの」

 家にある救急箱ほどではないにしても、かなりのものだ。


「アリス、それ、脱げるか?」

 着てしまったTシャツ。


 でも腕動かせない。

 私は首を振った。


「でも、このままじゃ手当てができないんだよ。上のほうだから脱かなくちゃ」

「いやっ、痛いんだもん。動くと痛いんだもん」


 また涙が込み上げてきた。

 ガチャガチャとなにかやってる。


「悪い、アリス。このTシャツ切ってもいいか。それならおまえが動かなくてもいい」

「う、うん」


 痛いのがないならそのほうがいい。

 ジョキッ、ジョキジョキ。

 背中側を切っているのがわかった。

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