no.50
「仕方ないなぁ。温泉も入りたいし……」
そう言って川上も脱ぎ始めた。
「ほら、アリスもさっさとしなさいよ」
「えっ、は、はい……」
二人がやってるようにバスタオルを胸のところで巻いた。
なんか落っこちそう。
「あれぇ、川上さんって結構胸あるんだぁ」
「由美さんほどじゃないわよ」
「それにしても……」
「やっぱりお子ちゃまね……」
二人が私を見て言った。
ど、どうせ胸ないですよ。
「まっ、いいんじゃない。これから宮川君に成長させてもらうってことで」
山内が言うといやらしく聞こえる。
「せっかくの温泉だし、さぁ、入ろう」
「うんうん、ほら、アリスもすねてないで」
私達が行くと男子陣はもう入っていた。
「やっと来たか。由美、こっち行こうぜ」
そういって高田と山内は、暗い左奥に消えていった。
私と川上はそっとお湯に入った。
「ほら、俺らはあっち行こうぜ」
宮川が右奥のほうを指差した。
「えっ、でも……」
「ふたりの邪魔しちゃ悪いだろ」
「えっ?」
あっ、そうか。
川上と大里の邪魔だよね。
ザバッと立ちあがった宮川。
腰にタオル巻いてるだけだよぉ~~~。
私はお湯から出る勇気がなくてしゃがんだまま、宮川の後をついていった。
「なにやってんだ、おまえ」
振りかえった宮川に笑われた。
「この辺なら見えないし、いいだろ。ホントに俺らだけだな」
そりゃ、もうすぐ日付が変わる時間だもん。
静かだった。
川のせせらぎが遠くで聞こえる。
上を見上げると満点の星空。
「きれい……」
「うん?」
宮川も見上げた。
「ほんとだな、綺麗だ」
タオル押さえてないと落ちそうでドキドキだけど、でもお湯も気持ちいいし、やっぱり温泉っていい。
「……きれいだ……」
そう耳元で宮川の声がして抱きしめられた。
きゃ~~~~~、は、裸なんだから抱きしめないで、離れてぇ~~~~~!!
濡れないようにアップにした髪。
うなじにキスされた。
「だめ、だよ。こんなとこでそんなことしないで。皆いるのに……」
「皆もやってるよ」
「そんな……」
「し~っ」
そう言いながらキスしてきた。
のぼせちゃうよぉ~っ。
で、また苦しいよぉ~~~っ。
ばしゃばしゃ。
「はい、失敗。でおしおき~~っ」
耳をぺろり。
うぎゃ~~~っ、くらくらしちゃうぅ~~~。
ばしゃっと音を立てて、宮川が岩に座った。
月の光で照らされた体がきらきら光ってる。
恥ずかしくてすぐに視線を落としてしまったけれど、綺麗だと思った。
「アリス、おまえも少しこっちに座れ。のぼせるぞ」
で、でも出ると……。
「ほらっ」
腕を掴まれて立たされた。
必死で胸のところでタオルを握った。
おっ、落ちちゃう!
腕を引っ張られて隣に座らされた。
空気が気持ちいい。
けどドキドキ。
「静かだな」
「うん」
言葉がつながらない。
それでも一緒にいるだけで……。
世界中の幸せを集めてしまったみたいな……。
そっと腕を回してきた宮川が言った。
「今夜、それ以上のこと、教えてやるよ……」
そう言って肩の上に唇をつけた。
やったぁーと思うのに返事ができない。
体がしびれて、どうしていいのかわからない。
お願い、早く唇離して……。
いくらタオルを巻いているっていってもやっぱり体に回された腕も……。
ドキドキが苦しくて、熱くて……でもどうして嫌だって騒がないんだろう、私。
額に頬に唇に……キスが続いて……首筋から胸に……もう力が入んない。
宮川がタオルに手を掛けた。
怖い……。
でも……このまま……。
意識がスーッと遠ざかったかと思ったら体が岩の上から滑り落ちた。
ズボボボッ……。
一瞬先輩が名前を呼んだ気がしたけれど、なんだかものすごい音にかき消されて……。
うっ、く、苦しい……。
ザバッ。
「おい、アリス、アリス! 大丈夫か!!」
うっげっ、ゲホッ!
苦しい。
背中痛い。
どうして?!
「ちきしょーっ、大丈夫か。あがるぞ」
担ぎ上げられたのがわかった。
意識ははっきりしてるのに体が動かない。
でもものすごく背中、痛いよっ!!




