no.49
「おいっ、ちょっと!」
ひぇっ!
「なんでおまえ、包丁なんか持ってんだよ」
な、なんだそれか……。
「たまねぎ切らなくちゃ……」
「貸せ! おまえは包丁なんて持つな。そっちのたまねぎの皮でも剥いてろっ!」
タンタンタンッ。
やっぱり宮川は包丁さばきがうまい。
なんでもこなすんだなぁ。
「なに、大騒ぎしてたのかは知らねーけどよー。気にすんな」
「えっ?」
「どうせ、由美にからかわれたんだろ」
ご名答!
「う、うん」
でも私がヘンなこと口走っちゃったから、私だけの問題ではないような……でもまぁいいか。
結局カレーの材料はみんな宮川が刻んでくれた。
「ったく、あいつら何してんだよ!」
と、包丁を置いたところに4人が戻ってきた。
私は川上と山内の顔を睨んだ。
「話してない、話してない」
山内が笑いを堪えて言った。
「私も言えない」
川上もそっぽ向いて笑いを堪えてる。
「こら、どうでもいいけど材料切り終わったぞ。さっさと料理しろ」
「えっ、基樹がやったの?」
高田が言った。
「そうだよ。おまえらさぼんなよっ。それからこいつに包丁なんか持たせんな!」
「きゃぁ、お料理までやってあげちゃうのぉ~」
山内が冷やかした。
「こいつは料理が苦手なの!」
みんなの視線が私に集中。
「ほ、ほんと?」
川上が目を丸くしている。
「怪我なんかしたら死ぬ大騒ぎなんだから、こいつに危ねーことさせんなよ」
ぎゃはははっ。
わははっ。
「そうだよね。前みたいに大騒ぎになっちゃうよね」
大里が笑いながら言った。
もぅ、皆でからかう……。
「さぼったんだから、あとはおまえらでやれよ」
「はいはい、お二人はゆっくり休んでてくださいよっ」
高田が言った。
「ほら、いくぞ」
宮川に頭を抱えられて、私達はそこを離れた。
ふーっ、やっと笑いの渦から抜け出せた。
二人で川岸に座る。
水辺はやっぱり涼しい。
火照った体に気持ちいい。
******
食事ができて、みんなでワイワイ食べた。
「外で食べるのって楽しいね」
「ああ、ほら、ご飯粒、ついてる」
えっ?
口の横に触れられた。
カーッ。
の、飲み物……。
慌てて水を飲んで……。
「ほら、こぼれてる」
えっ。
宮川は自分のTシャツの裾で私の口元をごしごしっとやった。
な、なんか視線が……と見れば4人がじーっと見てる。
スプーンをくわえていた山内が言った。
「いいなぁ、あーゆーの。私もして、俊平」
「ばか、おまえはもう子供じゃないの」
「え~ん、やってぇ」
ぷっ。
「なんだか分かる気がする。わ、わかる気が、す……きゃははははっ」
川上が笑い出した。
「ほ、ほんとね。これじゃ、ねぇ~」
山内も笑い出した。
な、なんなのよぉ~。
「かわいくて、かわい過ぎちゃって、手も出せやしないわぁ~。ねぇ、川上さん」
「ほ、ほんと。この二人ならそれで大丈夫なのよ。練習……」
「きゃ~~~っ、先輩言っちゃダメ!!」
もうキャンプなんて来るんじゃなかった。
帰るまでもつかなぁ。
それから皆でおしゃべりしたり、ゲームしたりして、すっかり夜も更けてしまった。
「おっ、そうだ。風呂入ってこようぜ。露天風呂」
高田が思い出したように言った。
「えっ、なにそれ。俊平」
「管理棟の向こうに温泉あってよ。その温泉旅館がおじさんちなんだ。風呂自由に入っていいって言われてたんだよな」
「素敵じゃない。行きましょうよ」
川上も嬉しそうに言った。
みんなで早速お風呂の用意してぞろぞろ。
「こんな時間だしよ、多分もう誰も入ってねーからゆっくりできるぞ」
楽しみぃ。
温泉、露天風呂!
ところが……。
えっ、お風呂ひとつしかないよ……。
「女達はそっちに脱衣所あるからさっ、そっちで脱いでこいよ。俺ら、先、入ってるわ」
高田が平然と言った。
「えっ、てことは混浴なの?」
川上が声を上げた。
「そーだよ」
きゃ~~~~~、一緒に入るのってやだぁ。
と焦っているのに、既に脱ぎ始めている高田。
うわぁ~~~っと慌てて私達は脱衣所に入ってしまった。
「な、なに。もぅ、混浴なんて!」
川上が息を切らせて言った。
「い~んじゃなぁい。どうせみんなペアなんだし」
山内はさっさと脱ぎ始めた。
この人って恥ずかしくないのかなぁ。




