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ありす☆らぶ  作者: 湖森姫綺
45/156

no.45

 ******



「ほら、早くしろ、アリス」

 ドアのところでイライラしながら待ってる宮川。


 みんなが見てる。

 だから余計焦っちゃう。


「わかってるよ、あ~~~~~っ、筆箱、落ちたぁ~~~」

 しかも中身散乱状態。


「アリスってばなにやってるの」

 沙耶が一緒にペンを拾ってくれた。


「ね、どうなってるの。昨日の今日でなんだか訳わかんないよ。なんだか必死で勉強ばかりしてて何も話してくれないし」


「ごめんね、沙耶。今は1分でもおしいの。試験が終わったらちゃんと話すから」

「うん……」

 それだけ話すと私はカバンを抱えて教室を飛び出した。


「もたもたやってんなよ」

「はい!!」


 私は昨夜作った英単語表を片手に歩き出した。

 ブツブツブツ……。

 学校の帰り道で英単語完璧にしちゃわなきゃ。


「ほら、昇降口。靴、履き替えろ」

「はい!」


 靴を履き替えてまた視線は英単語表。

 ブツブツブツ……。


「おい、そのまま行くと痛い目見るぞ」


 えっ?!

 視線を上げると目の前に木。

 あ、あれ、なんでこんなとこに木があるんだ。


「どこ行ってんだよ。こっちだぞ」

「はい!!」


 進行方向を軌道修正して、また英単語表に視線を落とした。

 ブツブツブツ……。


「おまえ、家につくまでそれやってるつもり?」

「うん。だから先輩周り見ててね」


「はいはい。ったく、なにもそこまでやらなくても」

「だめっ! 絶対満点なの、絶対!!」


「わーったよ。そんじゃ、俺の腕にしがみ付いてろ。家まで連れていく」

「うん」


 私は宮川の腕にしがみ付いた。

 手元は英単語表。

 ブツブツブツ……。

 

 周りから冷やかしの言葉が聞こえた。

「これじゃ、全然冷やかされても嬉しかねーよ。見ろ、こいつは勉強中だ!!」

 頭上で宮川が叫んでる。


 私はかまわずブツブツブツ……。


 周りから笑い声。

「ったく」



 ******



「ほら、着いたぞ」

「はぁ~い。こっちも英単語完璧よぉ。ただいまっ!」


「お帰りなさ~い」

 ママが明るい声で出てきた。


「あら、なんか宮川君、疲れてるように見えるけど、またアリスちゃん、なにかやったの?」

「いえ、満点とるんだそうです。今度の試験」


「えーっ、アリスちゃん、そんなに勉強しなくていいんだってばぁ。女の子はあんまりできるとかわいくないんだからぁ」

 階段を上がっていく後でママが叫んでいた。


 宮川があとから部屋に入ってくる。

 いつものようにテーブルを用意して、勉強が始まった。


 もうがむしゃらに勉強した。

 食事中もテーブルに教科書置いていて、ママに叱られた。


「俺、そろそろ帰るからな」

「えっ?」

「もう10時過ぎたしよ」


 時計を見ると確かに15分過ぎてる。

 そういえば帰ってきてから宮川と全然口聞いてない。


「待って、少しだけ休憩するから、ね」

 立ちあがった宮川を見上げて言った。


「俺なんか目に入ってなかったくせに。全部自分でできんじゃねーかよ。明日から自分でやれ」

「やだ、一緒じゃなきゃ、や!」

 私は宮川に抱きついた。


 もう一杯わがまま言っちゃうんだから。

 じゃなきゃ、気持ちが体の中に一杯になりすぎて後で困っちゃうから。

 我慢しないで言っちゃうもんね。


「ったく、なんなんだよ」

「ごめんなさい。でも先輩が一緒のほうががんばれるから」


「わかったよ。じゃ、ちょっと休め。帰ってきてからずっとやってて、おまえの目、三角になってるぞ」

 二人並んで座りながら私は目をごしごし。


「丸になったかな」

「丸でも気持ちわりーと思うぞ」


 ……それもそうかも……きゃははははっ。


「少しずつ息抜きしろよ」

「うん」

 宮川の胸に頭を持たせかけて、頷いた。


「でも前はそうやって勉強ばっかりしてたのかよ」


「う~ん、こんなに必死じゃなかったけどね。あんまり必死になってるとこ、見られるのも嫌だったから、家でだけかな。でも今は人の目気にしている余裕ないでしょ」


「まっ、何にしてもあと数日だからな」

「うん。早く終わって欲しい」

「同感! 早くアリスを一人占めしたい」


 えっ?

「嫉妬する相手が勉強じゃ情けない……」

 前髪を掻きあげて宮川は言った。


「先輩……」

 宮川の顔が近づく。

 唇と唇が重なる感触。

 すっかり覚えてしまった。

 

 でも未だにすぐ苦しくなっちゃう。

 先輩、ストップ、もう苦しい、くるし~~~~~っ。


「おい、なんですぐその色気のないジタバタをはじめんだよっ」

「だって……はぁはぁ……息が苦しい……」


「俺は鼻まで塞いでねーぞ」

「えっ、そ、そりゃそうだけど……」

「力みすぎなの。もっと体の力抜けよ」


 うっ……。

「おしおき……」

 そう言って宮川は耳をペロリと舐めた。


 ひぃ~~~~~~~~っ。

 体がしびれたぁ~~~~~。


「うまくいくまでおしおきつきだからなっ!」

「えっえ~~~~。そんなのないよぉ」


「そんじゃ、俺、帰る」


 ブチブチッ。

 玄関まで来るとママがリビングから出てきた。


「あら、帰るの? 気をつけてね」

「はい。ごちそうさまでした」


「あっ、じゃ、お邪魔虫は消えるわね。こうしてさよならするのはあと数日なんだから、今のうちに楽しんでね」

 な、なに言ってんだか……ママってばっ。


「じゃ、楽しませてもらっちゃおっ」

 宮川はキスしてきた。


 ここじゃだめ~~~~っ。

 頭を押さえられて逃げられない。


 ちょっ、ちょっといつまでしてるのよ。

 そろそろ離して、また息がぁ~~~~~。


「はい、失敗。おしおき付きっ」

 で、耳をぺろりっ。


 ぎゃ~~~~~っ。

 と、手を離されて私はそこにぺたりと座りこんでしまった。

 も~っ、も~っ、いやぁ~~~。


「おやすみ、アリス」

 なにがおやすみ、アリスよぉ。

 力入らなくなっちゃったじゃない。

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