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ありす☆らぶ  作者: 湖森姫綺
44/156

no.44

 宮川の顔を見上げた。

「いろいろ考えた。でも一緒にいたいっていう気持ちが一番なんだよ。だから」


「アリスちゃん、よかったわね。ね、よかったわね……」

「ママもよかったな」

 パパにそう言われて、ママも泣いてる。


「本当にいいの? こんなに簡単に決まっちゃって本当にいいの?」

「簡単じゃないよ。アリスが目一杯騒いでくれた。だろ?」


 うっ、うっく……。

 本当に?


 な、涙出てきて止まらなくなった。

 泣いてばっかり……。

 でも、でも……止められない。


「アリス、よろしくな」

 私は先輩のシャツにしがみ付いて泣いた。

 抱きしめられて夢じゃないんだって実感が沸いた。


 でも背中に回された腕が離れた。


 コホンッ。

「ママ、僕らは先に食事にしよう。お腹が空いた。君らも落ち着いたら食べなさい」

 そう言ってパパとママがリビングを出ていった。


「アリス、辛かったろ。ひとりで抱えるなっていつもいってるだろ。ちゃんと話せよ。おまえが一人で考えたって苦しくなるだけだろっ」


「だって、なんて話していいかわからなくて、日が経てば経つほど自分でも自分がわかんなくなっちゃって、どう話していいかわからなくて……うっく……」


 すっと伸びた腕に抱きしめられた。

「これからは早いうちに話せよ。訳わかんなくなる前にさ。わかったか」

「うん、うん」


 ふぇっ、ふぇっ……。


「こうしててやるから早く泣いちまえ。そして早く泣き止めろ。ご飯が冷めちまう」

「先輩のばぁかぁ、ばぁかぁ~~~~あ~~~」

「参ったな……」


 あんまり派手に泣いちゃったものだからパパと顔を突き合わせて食事もできそうになく、結局私達は2階の部屋で食べることになった。


「はい。お味噌汁、温めてきたからね。ゆっくり食べて」

 ママが全部運んでくれた。


「ごめんね、ママ」

「いいのよ。結果よければなんとやら~ね」


「パパにも……」

「うん。ママが伝えておくわ」


 コーナーテーブルに乗った食事を二人で食べた。

「本当に夢じゃないんだよね」


 うにぃ~~~。

 先輩は私の頬をつまんで引っ張った。


「いちゃい、よぉ~、先輩」

「ほら、夢じゃない」


「いったいじゃないですか!」

「信じないから」


 ブーッ。


「もうすんだことは気にするな。これからのことを考えろ。とりあえずはご飯」

「は~い。おいしっ」

 おいしい、おいしいの連発でしっかり食べちゃった。


「ごちそうさま」

「ごちそうさまぁ」


 ふふふふっ、とっても幸せ。

「腹、一杯」


「つらいことあってもその後に幸せって来るんだね。つらいことあっても二人なら半分こだよね。幸せは2倍だよね」

「そういうことだな」


「あっ、私、これ片付けてきちゃう」

「俺も手伝うよ」


 テーブルの上のお皿をお盆に乗せた。

 けれど乗りきらないお皿が1枚。


「おまえはそっち持て。俺がこっち持つ」

「いいよ、お盆のほう、私が持つ」


「おまえ落としかねないから、そっちの皿だけ持って来い」

「もぅー」

 二人で持っていってキッチンで大騒ぎしながら片付けた。


「片付いたら、パパがお話があるって、こっちいらっしゃい」

 なんだろう。

 ちょっと緊張する。


「ふたりとも座って」

 ママがコーヒーを持ってきてくれた。

 パパは新聞をたたんで置くと一口コーヒーを飲んでから口を開いた。


「とりあえず宮川君がここに来ることが決まったわけだが、君らはもうすぐ試験だな」

「はい」


「それが終わってから引越しにしよう」

「えっ、すぐじゃないの? 私、すぐ一緒に住みたい!」

 と勢いあまって立ちあがっちゃったけど……。


「アリス、ちょっと座れ」

 宮川に腕を掴まれて座らされた。


「だって……」

「だってじゃない。お父さんだってちゃんと考えて言ってくれてるんだ!」


「まぁまぁ、宮川君。こういう奴だから、はははっ」

「ご、ごめんなさい」


「おまえも勉強どころじゃなかったろ。だからとりあえずあと数日は勉強がんばるように。そのあとでちゃんと引っ越せるようにして。それでいいかな、宮川君」

「はい」


「うちのほうはいつでも入れるように準備しておくよ。試験が終わったら荷物をまとめて来るといい。それから学校のほうには私達が君がうちに下宿するということで報告に行く。内緒にすることもできないからね。あとでわかって問題になるのも困るし」

「はい」


「アリスもいいね」

「はい」

「それじゃ、試験、がんばるように」

 

 私達はリビングを出た。

 でも私はもう一度リビングのドアを開けて、


「パパ、ありがとう。ママもありがとう」

 それだけ言うとドアを閉めた。


「よくできました」

 宮川が私の頭を抱えるようにして言ってくれた。


「試験、がんばろうな」

「うん」

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