表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ありす☆らぶ  作者: 湖森姫綺
37/156

no.37

「あれ、びしょびしょ」

 そう言った宮川の手元を見るとテーブルに置かれた冷えた缶の下が濡れていた。

 私が持っている缶も濡れている。


 私は席を立って、部屋の後ろに置いてあるティッシュボックスをとりに行った。

 やはり席を立った川上とすれ違う。

 私はティッシュボックスを取ると、1枚ずつティッシュを配りながら戻ってくる。

 ふっと見ると川上が宮川に耳打ちしているのが見えた。


「そっか……」

 と言いながら指で頬をポリポリしている宮川。


 なにを話したんだろう。

 川上の視線が私に移り、にっこりする。


 なに?


 戻ってきた川上は

「はい、ありがと」

 とティッシュを一枚引っ張って座った。


 私も座ってティッシュを一枚、宮川のコーヒーの下に敷いて、自分のにも敷いた。


「そんじゃ、俺達、今日寄りたいところがあるからさぁ、これで帰るわ」

 高田と山内が立ちあがった。


「じゃ、川上、俺達も帰ろう」

「そうね」

 大里と川上が立ちあがって高田が大声を上げた。


「あーっ、おまえ達、なになに。付き合い出したの?」

「えーっ、ふたりもぉ」

 山内が素っ頓狂な声をあげた。


「悪い?」

 川上が照れてる大里の横ですまして言った。


「いや、いいじゃん。じゃさ、テント3つ、押さえよう。せっかくみんなペアになったんだしさ」

「それいい!」


 きゃ~きゃ~騒いでいる二人に川上が言った。

「ちょっとそれ、まずいんじゃないの」


「別にいいじゃない。そのほうが私、絶対いいも~ん。ね、俊平。川上さんも固いこと言わないの。それとも嫌なのぉ~。付き合ってるのにぃ」


「そういうんじゃないわよ。好きにして。大里君、いこ」

「ああ」

 先に大里と川上が出ていってしまった。


「あ~ん、怒んないでよぉ、川上さ~ん」

「大丈夫だよ。別に嫌だって顔はしてなかったって」

「そっかなぁ」


「おまえら、浮かれすぎなんだよ」

「だってぇ、楽しいほうがいいじゃない。ただそう思っただけなのに」


 しょげてる山内。

 大人っぽい顔立ち。スタイルもいいし……。

 と、なに見てるのかな、私。


「おい、基樹も別にいいだろ」

「別にそれでいいよ」


「おーっ、ほらな、基樹たちもOKだってよ、由美。落ち込んでないで行こうぜ」

「ね、ね、二人もそれでいいってことは既に……」


 フガッ。

 急に明るい顔をして話し出した山内の口を高田が塞いだ。


「なにすんのよぉ、俊平!」

「おまえさ、アリスの前でやめろよ」


「あら、だってもうこういう話してもOKなんでしょ。でも、アリスも大人になったのねぇ。きゃ~~~っ」

 なんかみょ~に「大人」というところを強調されて言われるとムッとする。


「おい、由美!」

「嬉しいんだよぉ。宮川君については別に驚かないけど、アリスがぁ~~~っ」

 二人でなにやら盛り上がってる。


「勝手にやってろ、ブァーカ」

 宮川が笑いながら言った。


「じゃ、こいつうるさいから行くわ。おっさきー」

 そう言って二人も出ていってしまった。


 テントだの、キャンプだのって何の事だろ。

 別のこと考えてて、話し聞いてなかった。


「俺達も帰るか」

「うん」


 帰りながらなんの話しだったのか聞いてみた。


「ああっ、おまえがジュース買いに行ってる間にさ、生徒会の6人で夏休みキャンプに行こうって話しになってさ。俊平の叔父さんがキャンプ場やってるってんで、そこでやることにしたんだ。おまえも行くだろ」


「うん」

 キャンプかぁ。

 いいかも。


「で、人の話、聞いてないでなに考えてたわけ?」

 顔を覗きこまれてそっぽ向いちゃった。


「川上から聞いた。沙耶が男とキスしてたってな」

 えっ、話しちゃったわけ?!


「で、なんでおまえが落ち込むんだよ。あいつだってもう大人だろ。キスくらいするさ。俺達だってしてんだしさぁ」


 そう言いながら頬にチュッ。

「あ~、人に見られちゃうでしょ」

「いいじゃねーか、別に」

 よ、よくないっ!


「あいつらはあいつらでうまくやってるってことだろ」


「わかってる。そうじゃなくて、自分がよくわかんないの。嫌だとかって言うんじゃないし……。でもみんな大人、大人って言って、なんだか……」


「おまえってほんと、ヘンなとこで悩むな。まっ、おまえらしいって言えばおまえらしいけどさ。よーするにおいてかれた気分ってやつだろ? まわりばっかり進んでって、自分はなんかおいてけぼり、くらってるって」


「そ、そう。そんな気分……」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ