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ありす☆らぶ  作者: 湖森姫綺
32/156

no.32

 ******



「ほらっ、席につけ」

 担任が入ってきた。


「幸せなお姫様はびっくりしているようですな」

 先生まで冷やかす。


「そんなお姫様のためにこの状況説明の時間をやる。1時限目は俺の時間だが、それを使ってよ~し」

「やったぁ~、センセ、ありがとなー」


「じゃ、早速、クラス代表して状況説明すっぞぉ」

 そう言って教壇に立ったのは学級委員長の服部だった。


「んじゃ、まじめに……まずアリス姫が手を怪我して登校してきた日に戻る。あの朝、会長が来て、姫を保健室に連れていった。あの大騒ぎでみんなは姫がチョー可愛いと思ったんだ」


 オー。


「そんで、それぞれが姫を守るぞーと心に決めたんだ。だけど、翌日姫は学校に来なかった。しかも会長も休みだった。そんなことから幸せなふたりをちょっーと妬んでしまったやつらはひそひそと行動を起こした。二人は絶対怪しい。一緒に違いないと……。俺らも思ってたけどなぁ」


 あははははっ。

 身振り手振りをしながら話す服部にみんな大笑い。


「だが妬んだ奴ら、ちとやりすぎた。姫の城までいって、会長がそこにいることをつきとめ、まるで良からぬ事をしているかのように書きたてて、校内に張り出した。これがそうだ! くだらない紙だが、見るか、姫」


 手渡しで回ってきたその一枚の紙には、宮川と私の写真入りで『会長、副会長、同棲発覚!!』と見出しが書かれていた。


『あの会長はアリスの両親が旅行中なのをいいことにアリスの家に転がり込んで、そのままいついてしまった!

 しかも夜中に大騒ぎしたり。両親も旅行から帰ってきたのに、二人を別れさせられない云々』


 どこからどうしてこうなるのかなと思えるような内容だった。

 

 読み終えて顔を上げると、みんなが静かに待っていてくれたことに気がついた。


「こんな紙切れの内容は、俺達はちっとも信じなかった。だけどここに一名いるが……」

 と、教壇の横で椅子に座っている先生に視線を流して服部は続けた。


「世の中に擦れた大人達は疑ってかかった。そこに姫の両親登場!」


 おーっ。

 えっ、うちのママとパパ?


 私は沙耶を見た。

 沙耶が黙って頷いた。


「姫のご両親は会長と姫の事実あったことをきちんと校長に報告してくれた。その上でふたりの交際を認め、これからを応援していきたいと伝えた」


 おーっ。

 パパ……ママ……。

 涙が溢れてきた。


「それでやっと大人達はふたりが本当にお互いを大切にしていることを知ったんだ。だけど学校としてはそんな簡単なことでもなかった。なかなかでない結論に業を煮やした俺達は昼の放送ジャックをやった」


 おおーっ!!


「事実を直接母上から聞いた沙耶嬢から、ふたりの愛の大きさを語ってもらいました」


 おーっ!

 沙耶……。


「ふふっ、楽しかった」

 優しく笑う沙耶がすごく綺麗に見えた。


「そして全校生徒の心を動かしたのだった。ちゃちにでっち上げを書きたてた奴らまでが同調した。そして土曜日、学校は休みだったがひとりも休まずここに集まった。当事者の姫と会長以外はな」


 おーっ。


「そして校庭に座りこみ。学校側がふたりの交際を認めるまで俺達はここから動かないぞーってな。結局夜までやってたな。暗くなってから、親から電話が入り出して、やっと大人達は動いた。俺達の気持ちが本物だってわかったんだ」


 おーっ。


「俺達は大人達にふたりの交際を認めさせたんだぁ」


 おおーっ。

 もう、みんなで一体なにやってたんだか。

 ほんとに、ほんとに、みんなして……。


「で、一旦家に返された。だけど二人が今日登校するって情報を得て、慌ててまた学校に集まった。みんなで紙ふぶき作ったり、垂れ幕作ったり、なんとか間に合わせることができんだよな。アリス姫、みんな、おまえ達のお陰で本当充実した数日を過ごすことができたよ」


 溢れる涙でみんなの顔が霞んじゃってるけど、どうしても言わなきゃならない一言がある。

 ちゃんと言わなくちゃ。


「あっ……ありがとう。本当にありがとうっ」

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