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ありす☆らぶ  作者: 湖森姫綺
31/156

no.31

 学校のフェンスが見えてきた。

 フェンス越しに仰々しく生徒達が立っているのが見えた。

 何事?


 正門の前に立っている沙耶が早くと手招きしていた。

 その隣で沖野も優しい笑顔。


 沙耶、沖野君とうまくいってるんだね。

 よかった。


 1歩1歩近づくにつれてドキドキが激しくなった。

 カバンを持つ手も震えてる。

 宮川が握る手に力を入れてきた。

 大丈夫だって言ってくれてるみたいに……。


「ささっ、どうぞ、中へ」

 昇降口までずらっと並んだ生徒達。

 まるで高級ホテルで、お客様をお招きしたときみたいに、みんな綺麗に並んでる。


 なんだか、手を握っているだけじゃ押しつぶされそうで思わず、宮川の腕にしがみ付いてしまった。


 せぇ~のぉっ!!

 いきなり掛け声がして、正面の校舎の屋上から、なにか垂れ幕のようなものが勢いよく落ちた。


 きゃっ。

 怖くて目を瞑る。


 わぁ~~~~~。

 一斉に歓声が上がって、それにかぶさるようにパンパンッと破裂音がたくさんした。


「や、や、怖い、先輩、怖いっ」

「おい、アリス、ゆっくり目を開けてみろ」


「やだ、なに、これ。怖いもん」

「ほら、しっかり抱いててやるから」


 宮川は肩を抱きしめて、頬にもう片方の手をあてた。

「あけてみろよ」


 一度ぎゅっと瞼に力を入れてから、ゆっくり開けてみた。


 正面には3階建ての校舎があって、その屋上から地上すれすれまである大きな垂れ幕が下がっていた。


『お帰り!! 学校公認カップル。


   生徒会長 宮川基樹


   副会長  桐原亜李栖  』


 二人の名前が相合傘の下に書かれていた。


 歓声が一段と大きくなる。

 屋上から色とりどりの紙ふぶきまで飛んでくる。


 や、やだ。

 なに、これ……。


「よかったな、アリス。みんな大歓迎してくれてるぞ」

 溢れてくる涙で、大きな垂れ幕の字まで見えなくなっちゃった。


 ふぇ、ふぇっ……。


「こんな、こんなの、幸せ、すぎちゃって、やだよぉ~~~」

 張り詰めていた気持ちが音をたててはじけてしまって、体から力が抜けていった。


「おいおいっ」

 宮川の腕にしっかり頭を抱えられて、泣いちゃった。

 周りの冷やかしの声まで、なんだかあったかく感じちゃった。


 キィ~~~ン。


「こっらー。おまえらぁ、もう始業ベルはとっくになってるぞ、さっさと片付けて教室に入れぇ~」

 思いっきり大きな声で放送が入った。

「やっだぁ、これ、生活指導の坂田の声だぁ」


 わはははっ、きゃはははっ……。

 笑いの渦に紙ふぶきが舞う。

 信じられない光景に涙溢れて止まらない。


 こんなことしちゃう、みんなって本当にすごいよ。

 本当に……。


「こらー、教室に入れぇ」

「こら、そっちもだぞ」


 先生方が出てきて、みんなは明るく返事して、それぞれ持てるだけのごみを拾いながら教室に向かう。

 そんな中をゆっくり歩いて昇降口に着いた。


 医務の先生がくわえタバコで立っていた。

「おめでと」


「なんか、すっげー騒ぎになってんのな」

「あなた達がみんなを引きつけたんだよ。これからもがんばれって」


「ああ」

「ほら、弱虫お姫様もだよ」

 私はしっかり頷いた。


「アリス、教室行こう。お兄ちゃん、ここからは私がアリスを預かるからね」

 沙耶が私のカバンを持ってくれた。


「アリス、大丈夫か」

「うん、だいじょぶっ!」


「沙耶、頼むな」

「うん。アリスってほんとかっわいい」

 沙耶に抱きつかれて、思わずポッ。


 がやがやとみんながそれぞれ教室に戻っていく。

 すれ違いながら、みんなが「おめでとう」って声を掛けていく。


 私も沙耶と一緒に教室に行った。

「おーっ、この、幸せ者~」


「アリス、おめでとぉー」

 なんだかわかんないけど、「ありがとう」を繰り返しちゃった。


「はい。席に座って」

 机の上に花束まであったりして。


 でも一体どうなってるのかな。

 こんなに大騒ぎして。

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