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ありす☆らぶ  作者: 湖森姫綺
21/156

no.21

 ******



 RRRRRR……。


 電話、なってる。

 起きなきゃ……。

 ベッドから転げ落ちて、机の上にある子機を掴んだ。


「は、はい、桐原です」

『あ、アリスちゃん。寝てたの? ね、一人よね?』


 はぁーあ???


『アリスちゃん? ね、一人なんでしょ?』

「ママ、なに言ってるの? 一人だよ。ママ達いないじゃない」


『だってだってパパったらヘンなこと言うんだもの。ね、宮川君、食事作ってくれて食べて帰ったの?』

「そうだよ。一緒に食べた」


 ふぁ~あ。

 ねむ……。


『そ、そう。じゃ、今夜も遅くなっちゃうけど帰るからね。大丈夫?』

「大丈夫だってばぁ。先輩、またご飯作りに来てくれるって言ってたもん」


『なんだかちょっと情けないわね。そういうのも。でも大丈夫なのね。じゃ、学校遅れないように行ってね』

「ふぁ~い」


 あくびと一緒に返事して、電話を切った。

 時計を見て……。


 なんだぁ、いつもよりずっと早いんじゃない。

 もうちょっと寝かせておいてくれればよかったのに。

 昨夜もなかなか寝つけなくて、またまた寝不足じゃないよぉ。


 ……ボッ!


 いきなり宮川のドアップを思い出して、しっかり目が覚めた。

 あっ、朝からなに考えてんだろ、私ってば。


 頭をフルフルして下に下りた。

 わぁ、今日は雨か。

 やだなぁ。


 そう言えば昨日、先輩が帰った後すぐに結構強い雨、降ってきちゃったんだよね。

 濡れないで帰れたかな。

 傘、持っていってもらったらよかった。


 歯磨きしながら鏡に映っている自分の顔を見て、ボッ。

 うっ、ゴックン。


 がぁ~~~、歯磨き粉飲んじゃったぁ。

 げげ~っ。


 歯磨き粉ってまっず~い。

 喉がひりひりする。

 口直しに何か飲もう。


 冷蔵庫を開けて、あれ?

 サラダなんてある。

 出してみて、まじまじ。


 ダイニングテーブルに紙が置いてあった。


『アリスへ

 朝食にサラダ作っといたから、ちゃんと食べて来るように

        基樹』


 やだぁ、先輩。

 サラダまで作っていってくれたんだ。

 えへへぇ~。

 食べよっと。

 パリパリっとしたレタスの食感がなんだか新鮮に感じられた。



 ******



 それから鏡台に向かって四苦八苦。

 髪を後ろでちょっと結びたいけど、どうもうまくいかない。

 やっぱり指が1本でも使えないと不便だなぁ。

 それでもなんとかなって、家を出た。


 学校に着くと、すでに来ていた沙耶に指をどうしたんだと問い詰められた。


「えっ、えっと昨夜ちょっと包丁で切っちゃってさ」

「やだぁ、アリスらしくな~い。なにボーッとしてたのよ」


 あははっ。

 料理が苦手って知らないのよね。


「う、うん。両親出掛けていなくて、ちょっとね」

「そっか、今夜は帰ってくるんでしょ?」

「うん。遅くなるって言ってたけどね」


「おーい、アリス来てるか?」

「あっ、お兄ちゃん。アリス、いるよ。こっち!」


 ボッ!

 まだ体から熱が逃げないみたい。


「よし。今日は遅刻しなかったな。おい、指、消毒してきたか?」

「ううん」


「ったく。そんなことだろうと思ったよ。おら、保健室行くぞ」

「なんで」


 引っ張られて、体中が熱帯!!


「なんでじゃねーよ。ちゃんと消毒しなかったら、あとでひどいんだからな」


 やだよぉ。

 触られたくない。

 また痛いのやだよ。


 宮川は、椅子にしがみついている私をひょいっと肩に担ぎ上げた。


 わぁ~!


 教室中から声があがった。

 は、はずかしいよ。

 降ろして!


 もう頭の中、パニックになっていた。


「ほら、じたばたするな。行くぞ」

「ぎゃ~~~っ、やだ。痛いからやだ。もう治っちゃったよ。だからぁ~~~」


 ガッシッ。


 私は出入り口に右手で必死にしがみついた。

 自分でもう何してるのか、わからなくなっていた。


「てっめえ、いい加減にしろ!!」


 おぉー。


 は、はずかしい。

 い、痛いのやだ。

 でも恥ずかしい……。


「おい、そこの奴。こいつの手、はがしてくれ」

「で、でも……」


「ぎゃ~~~っ、だめ、やめて」

「さっさとはがせ!!」


「は、はい!!」

 うわっ、外れちゃった。


「おまえの負けだ。諦めろ」


 私は思いっきりじたばたした。

 けれどびくともしない。

 負けなのぉ~。


「そうそう、おとなしくしてろ」

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