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ありす☆らぶ  作者: 湖森姫綺
15/156

no.15

 ******



 体育祭も終わって、なんだか気が抜けたような日々。

 鬱陶しい梅雨に入って雨も多いし……。


 でもなんだかカップルが増えたように見えるのは、気のせいかなぁ。

 ぼんやり生徒会室の窓から外を見ていると、後ろでドアが開く音がした。


「あら、アリスだけなの?」

 川上の声がした。

「はい」


 今日は特に集まりがあるわけじゃなかった。

 でもまっすぐ帰る気にもなれなくて、なんとなくここに足が向いた。


「お天気もはっきりしなくて嫌になっちゃうわね」

「はい」

「ね、宮川君とはうまくやってる?」


 えっ?! 

 慌てて振り向く。


 川上は、ストレートの長い髪を両手で後ろに掻きあげて、ゴムで結んでいるところだった。

 なんか色っぽい。


「な、なに言ってるんですか?」

「なにって、あなたたち付き合ってるんでしょ?」


「そ、そんなことないです」

「やだなぁ。今更隠さなくってもいいのよ。みんな知ってるんだから」


「だ、だから付き合ってなんかいませんって……」

「こらこら、先輩に嘘はだめよ。体育祭の後からかなぁ。宮川君ったらラブレター、その場で返すようになったんだから」


「えっ、一日のお付き合いとかしないんですか?」

「そうよ。申し訳なさそうにしてるけど、はっきり付き合えないからって言ってるって。それってあなたと付き合ってるからでしょ?」


「でも、あの本当に付き合ってなんか……」

「噂知らないの? 体育祭であなたの汗、拭いてあげてたとか、タオル交換したとか、ジュース差し入れしてたとか、みんな知ってるのよ」


 それは汗じゃなくて涙だけど、ほぼ事実かなぁ。


「そのあとも送っていったでしょ」

 それも事実だなぁ。


「彼が自分から女子にアプローチするのってはじめてなのよ」


 えっ?


「今まで女子から申し込みがあって、一日お付き合いはしたりしてたけど、それは女子側からアプローチがあったからよ。でも宮川くんからアプローチって聞いたことも見たこともないわ。ずっと好きだった私が言ってるんだから間違いないわよ」


「せ、先輩、宮川先輩のこと好きだったんですか?」

 全然知らなかった。


「そうよ。これでも一日お付き合いした仲よ。わからなかったでしょ。こうして同じ生徒会にいても、全然普通に振舞うし。つまりね、彼にとって一日お付き合いした女子は友達でしかないのよ。だから私は友達のひとり」


 そういうもんなのかなぁ。


「多分中途半端に断られてたら、こんな風に友達でいられなかったわよね。でも一日お付き合いして、お互いちょっとわかった上でちゃんと断ってくれるのよ。嫌いだからとかって言い方はしないけど、カップルになって付き合っていける感じじゃないんじゃないかなと思うって言ったわ。なんだかすっきりしちゃったのよね、それで」


「はぁ」

「だから今も友達でいられるの。でも気になるじゃない。そんな彼が選んだ彼女って」


 ドキン。


「でも私付き合うとかじゃないし……あ、あの、お先失礼します」


 私はなんとなく気まずい空気に逃げ出してしまった。

 川上先輩は宮川先輩をまだ好きなんだろうか。

 ドキドキが収まらなかった。



 ******



 きゃ~~~っ、遅刻しちゃう。

 私が遅刻なんて、だめ!!


 昨夜から親類の結婚式で九州に出かけてしまった両親。

 朝はちゃん電話で起こしてくれるって言ったのに掛けてくれなくて、結局寝坊。


 慌てて家を飛び出してきた。

 これならなんとかセーフかな。


 校門を走りこんで息を整えた。

 ここからなら歩いても大丈夫だ。

 遅刻しそうで走ってる姿なんて見られたくない。


「こらーっ!!」


 ひぃーーーっ。

 な、なに?

 振り返ると走ってくる宮川。


「おい、アリス待て!」


 待てって、私なにか悪いことした?

 まだ遅刻してないよ。


「こら、捕まえた。ったく、さっきから声掛けてんのに。おまえ、足速いな」


 はーっ。

 宮川は、大きく息を吐いて、私の髪をワッシと捕まえた。


「な、なにするんですか?!」

「なにじゃない。それはこっちの台詞だ。なんだ、この寝癖はっ」


「えっ?」

「えっ、じゃない。後ろ全部跳ねてる」


 そう言えば、とかしている時間なくて、とりあえずゴムだけブラウスのポケットに入れてきたんだった。


「えっと、あの、ちょっと寝坊しちゃって。学校来てから結ぼうかなと……」

「ほら、そんじゃゴムあんだろ。出せ。それとクシ!」


 えっ、ちょっと……。


「言われたら、さっさとする!」

「は、はい!!」


「返事はうん!」

「う、うん……」


 って、普通返事は「はい」って言われるもんじゃないのかなぁと思いつつ、カバンからクシを出して渡して、ゴムも渡した。

 宮川は、髪をとかし始める。


「ちょ、ちょっと先輩。こんなとこでなにしてるんですか?」

 校門から昇降口に行く途中なのだ。


「クシとゴムを出したら、縛るに決まってる。ボケッ」

「だ、だって、みんな見てます」

「どこか行ってゆっくり結んでる時間があるか?」


 な、ないです……。

 いっ、痛い……。


「おっ、なんかうまくいかねーな。ほら、これ持ってろ」


 クシを渡された。

 なんか言われるままにされてるぅ~~~。

 なにが悲しくてこんな……。


「あっ、下のほうならうまくいきそうだな。もう少しだ、待ってろ」


 恥ずかしいんですけど~。

 みんな見てますぅ~~~。


「こら、下向くな。じっとしてろ」

「でも……」

「よし、できたぞ。おらっ走れ。間に合わなくなるぞっ!!」


 ひぃ~~~ん。

 もうどうにでもなれぇ。

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