no.144
「明日には学校来れそう?」
「大丈夫だろ。そんなに休んでらんねーしよ」
「で、なんでお兄ちゃんまで休むのよ? ほっとけないって?」
「わかってんなら、聞くな」
「まったく、世話の焼ける人達だわね。やめてよね、もうこういうの。私、帰るわね」
沙耶は今日の授業のノートのコピーを置いて帰っていった。
夜になってやっと食欲も出て、ママの手料理が食べられた。
「もう本当に大丈夫なの、アリス」
「うん。へーき」
「昨日はびっくりしたわよ。基樹君におんぶされて帰ってきて。訳わかんなくなってるんだもの。基樹君もすごいカッコしてるしぃ」
「あははっ、あれはその……」
「もう大丈夫だってば、ママ。ね、基樹」
「ああ」
「まっ、なんにしても、なんだか仲直りしたみたいだし、いいんだけどね」
そっ、仲直りしたんだからいいのだ。
食事が終わって先に基樹にシャワーを浴びてもらう。
私はまだダイニングでつまみ食い。
「こら、アリス。いい加減にしなさい。太るわよ」
「はぁ~い」
「アリス、出たよぉ。入っていいぞ~」
基樹の声がした。
「はぁ~い!」
「じゃ、ママ、お休み」
そう言ってシャワーを浴びて部屋に戻った。
う~ん、使いなれたシャンプー、気持ちいい。
ソファに座る。
基樹が後ろに来て聞いた。
「もう気分悪くないか?」
「うん、もう全然平気」
「よかった」
チュッ。
後ろから頬にキスされた。
「あ~、もう」
こういう不意打ちはダメ!
パチッ。
いきなり電気が消えた。
「えっ、ちょっと真っ暗。ダメ~~っ、電気つけて!」
「騒ぐなよ、今つける」
カチッ。
スタンドの明かりが着いた。
「そっち着けてから消してよ。真っ暗は嫌なんだから」
「わかったから、もう黙っれって」
「ちょ、ちょっと……」
隣に座ってキスされる。
首筋に長いキスされてもう力が抜けてしまいそう。
「……基樹……」
パジャマのボタンをいつのまにか外されてて、胸にキスされる。
「うん……も、基樹、ちょ……ソファ……」
ソファなんだけど……って言いたいんだけど……。
「ここでいい」
よくない!
「ベット……に……」
「もう、我慢できない……」
ってベットはすぐそこだってばぁ~~~っ。
「……うん……ちょ、ちょっと……」
「もう、黙ってろよ……」
黙ってられない。
パジャマのズボンまで脱がすなぁ~~~っ。
「離せよ。こら」
必死でパジャマのズボンを握る。
「やっ」
「離せ!」
「や!」
「ったく。わーったよ。ほれっ」
抱き上げてベッドに連れていってくれた。
「どこだって同じじゃねーか」
「ち、違うもん」
「これでいーんだろ?」
「う、うん……」
「H続行!」
そんなこと言わなくていいの!
久々の熱い夜になった。
******
翌日、学校に行って沙耶に心配かけたことを謝った。
「まぁ、いいけどねぇ。なんだかんだで、アリスのすごいとこ見ちゃったしぃ」
「ねぇ、沙耶。私、一体何したの? 基樹ってば全然教えてくれないんだもん」
「知らないほうが幸せってこともあるかも……」
視線逸らして、そんな風に言われたら、余計気になっちゃう。
「あっ、アリス、それ!」
沙耶がいきなり大きな声で言った。
「な、なに?」
「何じゃないわよぉ。二日酔いで休んでた人がなによ、まったく」
「えっ、だからなに?」
「キスマーク、首!」
えっ、うっそ~っ!!
沙耶が手鏡を出して見せてくれた。
ほ、ほんと……。
気付かなかった。
「とりあえずサイドの髪、降ろしといたほうがいいよ。結構目立つ。まったくお兄ちゃんってば。見えないとこにするようにちゃんと言っときなさいよ」
う、言葉がない……。
帰ったらおしおきだぁ~~~!!