表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ありす☆らぶ  作者: 湖森姫綺
12/156

no.12

 ******



 シャワーを浴びて着替え。

 ……でもママってば、なんでこんな服出すの!


 用意された服を広げて愕然となった。

 こんなの着て出ていけないよ。


「ねぇ、アリスちゃん。もう出たんでしょ」

  覗きに来たママを睨んだ。

「なによ、これ」


「だってほら、あなたの部屋に宮川君いるし、出せないじゃない。たまたま昨日買って来たワンピースが下に置いたままだったし、お洗濯で乾いた下着も……だめ?」


 だめ?と言われても、確かに宮川がいるんだから服を出しに行けないし……。


「い、いいよ。仕方ないから」

「可愛いんだからいいじゃない。そしたら宮川君にもシャワー使ってもらったら」


「えっ?!」

「だって彼だって汗掻いたでしょ。シャワー浴びたら、さっぱりするわよ。ちゃんと言うのよ、わかったぁ」


 私が階段を上がるまでママは叫んでいた。

 ママのテンションはいつもあんなだけど、宮川が来ているといつもより上がるのかも。


 ドアの取っ手に手をかけたまま、数秒。

 自分の部屋に入るのにまた勇気出さなくちゃならない……。


 ガチャッ。


「あっ、ごめん」

 ドアが内側から開いて、結構焦る。


「い、あっ、う、ううん。あの、ママが先輩もシャワーどうぞって。すみません。なんかママ、テンション高いみたいで」


「いや、あははっ、参ったね。でもシャワーまで借りたんじゃ悪いでしょ。でもトイレ借りたいんだけどな」


 前髪を掻きあげながら言った。

 えっ、トイレ?


「あ、あの階段降りたすぐ横です」

「悪いね」

「いえ……う、ううん」


 はーっ。

 つ、疲れる。

 

 私が部屋に入ろうとすると階段を降りながら宮川が、

「あっ、アリス、かわいいよ。それ似合うじゃねーか」

 

 そう言って、なんか慌ててるみたいに降りて行っちゃった。


 ボッ!

 

 言われた言葉が頭の中に反響して、体中が熱くなった。


 部屋に入ってペタリと座り込む。

 姿見が目の前にあった。

 

 細かい苺柄のピンクのワンピース。

 胸にたくさんのリボンが並んでいてフリルもついてる。


 こういうのは嫌だと言っても、ママはやっぱり買ってくる。

 仕方ないから、休日で外に出ないときだけ着ることにしてる。

 それが可愛い服は大嫌いと言って、傷つけてしまったママへのお詫び。


 でも何も今日、これじゃなくてもいいじゃない。

 今のうちに違う服出して着替えちゃおうかな。

 でも戻ってきたらヤバイしなぁ。


 はーっ。


 しばらくしても宮川は、戻ってこない。

 どうしたんだろうと思っているとママが部屋に入ってきた。


「ね、先輩は?」

「あっ、今シャワー使ってもらってる」


「えーーーーっ!!」

「そんな大きな声、出さなくてもいいじゃない」


「ママ、また無理強いしたでしょ」

「そんなことしてないわよ。さっぱりしたほうがいいじゃない。ほら、そんなとこで座り込んでないでこっち来なさい」


「なによ」

「あなたの髪、ドライヤーで乾かしただけでしょ。まったく色気もないったらありゃしない。早く座りなさい。みっともないでしょ」


 みっともないか……。


「うん」


 クスクスッ。


「なに、ママ?」

「いい影響ね。とってもいいわ」

「なによ!」


「あなたが素直になってるってこと。今までだったら髪なんて触らせてくれなかったでしょ。嫌よ嫌よばっかりで、かわいくなかった。なのに最近とってもかわいいのよ。宮川君の影響ね。いいことだわ」


「なに、言ってんのよ、ママってば」

 私は鏡に映る自分から視線を外した。


「宮川君が好き?」

「やめてったら!」


「いいじゃない。まぁ、アリスちゃんは男の子に免疫がないからなんとも言えないけど、でも多分好きになってると思うんだけどな。ママにはそう見える。宮川君、とってもいい子だし、ママ反対しないよ。応援しちゃう。ヘンな男の子にひっかかるより、彼に守ってもらったほうがいいわ。免疫のないあなたのような子はね」


 わかったようなこと言わないで。

 勝手に決め付けないで。

 私が先輩を好きだなんて……。

 ドキドキが収まらなかった。


「さぁ、出来上がり。かわいいわよ。食事の用意、手伝って」

「うん」


「そうそう、そのお返事。素直でかわいいわ」

「ママぁ~」


 もう、娘で遊ばないでほしいわね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ