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ありす☆らぶ  作者: 湖森姫綺
118/156

no.118

 翌日もあちこちドライブしながら見て回る。

 割と滝が多くて、いろんな滝の姿を見ることができた。


 昼食はしゃれたレストランに入る。


「これ、おいしいよ」

 私はきのこスパゲッティを食べながら言った。


「一口欲しい」

 宮川が言うので、私はフォークに絡めたスパゲッティを差し出す。

 それを宮川はパクッと口に入れる。


「ホントだ、きのこの香りがすっごいしてうまい」

「でしょ?」


「仲、いいわねぇ、あなた達は」

 そうだ、ママたちもいたんだった……。


「ところで結婚式だけど、ちょっと早いけど4月中にして5月の連休でハネムーンに行ってきたらどうかしらってパパと話したんだけど、どう?」


「はい。俺もそれがいいかなって考えてました。学校あまり休むとまずいし、帰ってきてから籍を入れればいいんじゃないかなって。アリスもいい?」


「うん。私はいいよ」

 このきのこ、なんていうきのこかなぁ。

 食感があって、とってもおいしい。


「ねぇ、先輩。このスパゲッティ、家でも作れる? 味、覚えて、作って!」

 と言って宮川のほうを向く。


 宮川は黙ってじっと見つめていた。

「なに?」


「なにじゃないよ。ちゃんと人の話を聞けよ。ったく、アリスは……」

「えっ、なによ?」


「もぅ、アリスってば聞いてなかったの?」

 ママが怒る。


 パパと宮川は笑う。

 なに、なに?


 改めて結婚式の話題。


 宮川の誕生日は5月13日。

 でも4月中に式を挙げて連休にハネムーンに行くことにしようと。


 今年は28日が土曜日で5月1日・2日の二日くらいは学校を休んでもいいからということで6日までど~んと連休。

 そして籍は帰ってきてから入れる。

 誕生日の日に。


 結婚式はごく内輪でしようということになった。

 私達もあまり派手にやりたくなかったし、親しい友達だけ呼べればいいかなと思っていたから。

 親類も近くにいる人達だけで。


「じゃ、そういうことで式場探さなくちゃね。空いてるかしらね。帰ったらすぐ探しましょうね」

「はい」

「はぁ~い」



 ******



 楽しかった旅行から帰ってきて、早速式場探し。

 パパはアメリカに行く準備もあって、毎日大学に行っていた。


 ママと宮川と私の3人でいろいろ回る。

 何件か回ってやっと気に入ったところが見つかったけれど、連休中に空きがない。


「申し訳ありません。皆さん早いうちに決められてしまいますから、5月までは一杯なんですよ」

「ねぇ、ママ。結婚式って夜じゃダメなの?」


「えっ、普通は午前中にして、そのあと披露宴かしらねぇ」

「あっ、あの27日の夜でしたらあいてますよ」


 式場の人がぱっと顔を明るくして言った。


「今は結構夕方から教会のほうで式をあげて、夜、披露宴をやる方もいらっしゃるんです。夜のほうがムードがあるとかで」

「私、それがいい!」


「素敵ですよ。教会から披露宴の式場に通じる中庭の通路の両側にキャンドルを飾りますから、幻想的で。今、結構人気なんですよ。この夜のプラン。若いお二人にはいいんじゃないですか?」


「ママ、いいでしょ? 先輩も、ね?」


「お母さん、俺もそれでいいですよ。結婚のことに関してはアリスの意見、まだ全然なかったし、こういうのアリス好きですから」


「そうね、素敵みたいだし。こういうのも思い出に残っていいかしらね。じゃ、決めちゃう?」


「うんうん。決める!」

 結局、27日の6時から教会で式を挙げることになった。


「学校あるでしょ。間に合うかしら?」

「間に合うように来ますよ、な!」

「もっちろん!!」


 もう心は教会に飛んでいた。



 ******



 それからは衣装を用意したり、式場との打ち合わせなどでバタバタして春休みは終わった。

 宮川は3年になり、私は2年になった。


 宮川は特進クラスに入り、玲菜と私はクラス替えがないから、そのまま持ちあがり。


「アリス、懐かしいねぇ。元気だった?」

「うんうん、げんっき!!」


「ちょー元気って感じね」

「そうそう、ちょー元気」


「その元気のもとは?」

「はい。これ、沙耶と沖野君に」


「なに?」

 2枚の封筒を沙耶に渡す。


「あっ、これ結婚式の招待状?」

「うん。決まったから、二人で来て欲しいの。それとね、これもお願い。沙耶のパパに渡してほしいの」

 もう一通の封筒を沙耶に渡した。


「パパにも?」

「うん。最初ね、先輩、いいって言ったんだけど、私が押しきっちゃった。やっぱりお父さんにも見てもらいたいもんね」


「あの、アリス……」

 心配そうな表情の沙耶。


「いいの。渡してもらえれば。来れなくても。来れたら来てくださいって渡してもらえれば」

「ごめんね、アリスに気を遣わせちゃって」


「ううん」

 そこに沖野が来た。


「あっ、沖野君、ちょっと!」

 沙耶が呼ぶ。


「なに?」

「あのね、これアリスから」


「えっ、これって結婚式の招待状? とうとう結婚するんだ」

「ごく内輪だけのなの。それに学校終わってからで夕方からだから。来てもらえるかな、沙耶と二人で」


「もちろんだよな、沙耶。俺達の憧れのカップルで恩人だもんな」

「そうよ。クリスマスに約束したんだから。本物見せてくれるって。楽しみ~。なに、着ていこうかなぁ」



 ******



 放課後、生徒会室では……。

「えっ、私達が招待されちゃっていいんですか?」


「おまえらに本物を見せてやるよ。よ~く焼つけとけよ」

 宮川はフフンと鼻を鳴らした。


「きゃ~、もうもう絶対ずるい!」

「いいじゃないか。二人の結婚式見られるんだぜ、由美」

 山内と高田はじゃれつきながら騒いでいる。


「おめでとう、アリス。花嫁姿、楽しみにしてるわね」

「おめでとうございます。ぜひ出席させていただきますよ」

 川上と大里は、にっこり微笑んでいた。


「その代わり、余計なことはしないでくれよ。一生に一度の大イベントだからな」

「しませんよぉ。悔しいけどそんなことしたら罰が当たっちゃう」

 山内が口をとがらせて言った。


「そりゃそうだよなぁ。本物の神様の前ではさすがに俺達も悪さはできないって」

 高田も笑いながら言った。


 みんな、本当に喜んでくれてる。

 よかったね、先輩。

 幸せになろうね。絶対。

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