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ありす☆らぶ  作者: 湖森姫綺
109/156

no.109

 ******



 放課後、生徒会室に行って、台本に目を通す。

 本当に内容がない。


 キリンはこんな性格でこんなことが好き。

 誰と仲良くて誰といつも喧嘩してる、とかなんとかコーラスが歌う。


 その横でキリンは芝居する。

 他の動物たちも同じ。


 で、肝心の猫……。

 うさぎと一緒にお芝居する。

 これってホント最初から、誰が何になるか考えて作られてる。


 うさぎと猫が仲良し……だもんね。

 しかも沖野がキリン。


 キリンとうさぎは仲良しでぇ~。

 リアル、そのままじゃん。


 ガラッ。


「おっ、アリスだけか」

 宮川が入ってきた。


「うん、まだ誰も来てない」

「なんだ、それ?」


「クラスの出し物」

「ああ、芝居ね。見せてみろよ」

 宮川は隣に座ると脚本を手にする。


「おまえ、猫?」

 配役に名前が書きこまれたページを見て言った。


「うん……なんかもう脚本作ったときから決まってたみたい……」

 ペラペラとめくって最後のほう。


「おっ、ここに猫出てる」

 読み始めて宮川は大笑い。


「おまえ、ほんとにこれやるの?」

「だって和美がもう決まりだって」


「しっかしなぁ、おまえにこんな色気あるかよ」

 横で大笑いされてる。


 でも色気ってなによ。

 確か台詞は『にゃうにゃう』一言だったと思う。


 脚本を引き寄せて見る。

 コーラスの言葉のところは読んだけどまだ私がなにをやるのかは見てないんだ。


 読んでいくうちに……な、なんだぁ、これ?!

 なんだか今度はクラスの皆にはめられた感じ……。


「おもしれ~っ、こりゃ大笑いだぜ」

「な、なんなのぉ、これ。最後の投げキッスって! し、しかも体くねらせてって~~~っ」


「今から練習しとく?」

「ば、ば、……」


 う゛~~~~!!

 こんなの、恥ずかしくてやれるわけないじゃないよ!



 ******



 それでも日はかわり……放課後となってしまうのだった。


「アリス、ほら、いつまでもすねてないでやらなくちゃ。みんな楽しみたいだけだよ」

 沙耶に言われたって……。


「は~い、じゃ、それぞれシーン毎に練習してねぇ。私見て回るから」

 しっかり和美が主導権握ってる。


「アリス、ちゃんとやってよぉ。大トリなんだから!」

 やめてぇ~~~っ。


「うさぎちゃんと仲良しポーズ、やってみて!」


 沙耶と両手を結んで、お尻突き出して、みんなのほうを向いてニコッ! 

 んなこと、できない~~~!


「ほらほら、アリス。こうやるんだってば!」

 沙耶までやる気満万なんだもんなぁ。


 そりゃね、きりんの沖野が途中から入ってきて、うさぎの沙耶と仲良しってなるわけだからいいけど、そのあと私の一人芝居じゃないよぉ。


「じゃ、最後の悩殺ポース、アリス!」

「で、できな~い!!」


「こうやるの?」

 和美がやってみせる。


 よくいう、「うふ~ん」ってな感じなのだ。

 そんなもの、ステージの上でやれるかぁ~っ!!


「アリス、この後に及んでやらないなんて言わせない。学校中の人気娘が何もやらないでどうすんの? いい、絶対やってもらうからね」


 結局、それから毎日のように放課後は練習となった。


「お~い、アリス!」

 怒られ怒られ和美の指導を受けていると、宮川がやってきた。


「あっ、会長! すみませ~ん、毎日アリス借りちゃって」

「いや、でもさ、こっちも出てくんねーと困るんだな。準備もあるしよ」


「アリスったら恥ずかしがってなかなかやってくれないんですよ。会長も手伝ってくださいよ」

 な、なにを言ってるの和美!


「先輩がいたら悩殺ポーズうまくいくんじゃない?」

「うまくなんかいかな~い!!」


 余計恥ずかしいじゃない……。

「悩殺ポーズ? おもしれー、どんなの?」

「こんなので~す。うふ~ん」


 やってなさい勝手に!

 私はカバンを掴んだ。


「じゃ、私、今日は生徒会のほう行くね」

「ちょっと~アリス」

 和美が慌てた。


「先輩、行こっ」

 私はかまわず教室を出た。


「じゃ~、会長、教えといてくださいよぉ~」

 後ろで叫んでる和美。

「もぅ、和美ったら」


 あははははっ。

 笑い事じゃないよぉ……。

 はぁー。


「いーんじゃねーの。楽しめば」

「私は先輩みたいにお祭り好きじゃないんです」


 生徒会室に行って、みんな看板作りをしていたので、それを手伝う。

 私はこういうほうが好きだ。

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