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ありす☆らぶ  作者: 湖森姫綺
108/156

no.108

 ****** 


 大騒ぎしたあとは、いつものごとく静かな日々が続く。

 毎日、なんとなく集まる生徒会室。

 今日も皆集まっていた。


「な~んか、つっまんね~な」

 宮川が机に足を乗せて言った。


「ホントだよなぁ。3学期は行事なしなんだろう。なんにもすることないのかよぉ」

 高田が同調している。


 皆、すっかりお祭り好きになっちゃったんだよねぇ。

 なのに何もない3学期。


「なんか、やるかー」

「なにを?」

 宮川が言うと川上が顔も上げずに言った。


「3学期……卒業……おーっ、いいアイディア!」

「だからなんですか?」

 川上の横で大里が少々不安げな表情を見せた。。


「3年生を追い出す会、いや、送る会!!」

 まぁ~た、何を言い出すかと思ったら……。


「何、するの?」

 山内が身を乗り出して訊ねた。


「そーだなー。体育館使って出し物。参加したいものが参加。あっ、3年は客ね。1・2年がなんかやるわけよ。クラス単位でもいーし、部単位でもいーし、仲間でもいーだろ」


「でも3年になると2月くらいから自由登校になるんじゃなかったですか?」

「だからさっ、一日くらい皆に来てもらったっていいだろ」


「来るかしら?」

「来るだろ。これまで行事楽しんだ奴らなら」


「そうですねぇ」

 そんなこんなで結局、3年生を送る会が行われることになった。


 もう、学校中がお祭り好きになった感じがする。

 まずは参加グループを募集。


「ちょっと待て。なんだよ、これ。全クラス参加。ほとんどの部が参加。ほかにもグループ参加もあるじゃないかよ」


 申し込み殺到だった。

 やっぱり学校中がお祭り好きになってる……。


「全部は到底無理ね」

 川上が溜め息をついた。


「どうやって絞るかだよな」

「よし、じゃ、それぞれ何をやりたいか企画書出してもらう。おんなじようなものは重なっても意味ねーしよ。あと時間の兼ね合いもみないとなんねーからな」


 やるとなると毎回本当に早回し……。

 私はいつもそんな皆を見てるだけ。


 結局、簡単なお芝居をクラス全員でやる私のクラス1-Aと軽音部、カラオケをやる2-C、クイズをやるクイズ研究会に決まった。


「おまえらのクラス、すっげーな。芝居かよ」

 我がクラスの出し物を見て、宮川が言った。


 そうなのだ。

 もうみんな大騒ぎ。


 全員参加できる芝居を作ろうっていうんで、まず脚本作りからだもんね。

 本格的。


「40分枠でちゃんとやるようにしてね」

 川上がニヤリとむする。


 それはもうわかってると思うけど、でも内容が怖い。

 クラスのお調子者たちが集まってワンヤワンヤやってるからなぁ。

 一体どんな脚本ができてくるやら……。



 ******



 そして1週間後。

 出来上がった脚本を見て、皆、愕然……いや、お腹を抱えて大笑い。


「マジでこれやんのかよー」

「でもおもしろそーじゃない」


 皆それぞれ言いたいことを言っている。


 タイトルは『ここに生息する動物達』。

 なんなんだぁ。


 クラスの10人くらいがコーラスに回る。

 他は全員動物に仮装。


 内容はあんまりない……。

 コーラスでなんとなく話が流れるって感じ。


 まぁ、私達はこんなに楽しいよぅ、だから先輩たちも学校のこと忘れないでねぇ、みたいな感じというか……。

 あっという間に配役決め。


「沙耶は何になるの?」

「あっ、私はうさぎ」


「えっ?」

「和美がそれで決まりだって」


「そっかぁ、私なにしよう……」

「あ~っ、アリスももう決まってんの!」


 私たちの会話を聞いていたのか、前の席の和美が振り返った。

 決まってるってなんでよ……。


 そうそう脚本作り、和美もやってたんだった。

 なんせ演劇部だもんね。


「アリスは猫よ」

「猫~?!」


「そっ、一番かっわいいんだから!」

「な、なんかやだなぁ」


「だって他に適役ある?」

 台本に目をやる。


 キリン・象・リス・ねずみ……。

 ない……。


「あたしさぁ、アリスには着てもらいたい衣装があるのよ。だから思いっきり猫娘よろしくね」

「あ~ん、沙耶ぁ、私、猫娘なんていやだぁ~」


「仕方ないでしょ。クラスの出し物なんだから、全員参加!」

「そうよ。ほとんど皆、それぞれのキャラクターに合わせて、動物も決めたんだからね」


 ほぇ~。

 ワイワイがやがやと配役が決まり。

 明日から練習ってことになった。

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