no.104
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翌日、沙耶も一緒に学校に行った。
やっぱり昨日の今日で元気がない。
「沙耶、しばらくうちにいていいからね。遠慮しないで」
「ありがとう、でもいつまでもってわけに行かないし。今夜、また家に戻ってパパと話す」
「でも少し時間おいた方がいいんじゃないかな。今、話しても多分喧嘩になっちゃうよ」
「そうだね……」
沙耶、苦しそうだった。
なんだかあまり話ができなくて一日が終わってしまった。
沙耶は今夜は話に行くのをやめたけど、やっぱりこのままってわけには行かないんだよね。
どうしたらいいのかな。
その夜も私は宮川の部屋にお泊りした。
そんな日が3日続いて……。
学校でもやっぱりかわいそうなくらい沈んでいる沙耶。
でもそんな沙耶の側にはちゃんと沖野君がいた。
私は二人ができるだけ一緒にいられるようにお弁当も生徒会室に行って一人で食べていた。
「寂しいなぁ、一人。でも何もできないんだもんね。せめて二人にしてあげなくちゃ」
ピンポンピンポ~ン。
校内放送が入った。
「1年A組の桐原亜李栖、至急職員室に来てくれぇ」
担任の声だった。
なんつー、呼び出しだ。
それにしてもなんだろう。
私、なにも悪いことしてないよ。
お弁当を片付けて職員室に行く。
担任は慌てて私のところに来て、
「おい、姫さんよ、おまえ何もしてないよな?」
「な、なんですか?」
すごい形相でそんなこと言われても身に覚えはない。
「いや、御客がきてるんだけどな。来い」
そう言われて応接室に通された。
ソファに座った男の人。
後姿だからよくわからないけれど、とっても大きい人なのは背中からわかった。
誰だろう……。
「おれも一緒にいてやるか?」
担任が小声で言った。
「いいです。大丈夫」
だと思う……。
「じゃ、なんかあったら絶叫しろ。おまえの声なら学校中に聞こえる」
「いいから、行ってくださいっ」
まったく……。
「すみません。あの、どんなご用件でしょうか?」
私はソファに座る男の前に進んで声を掛けた。
ぎょっ!
なんかやっぱり担任に一緒にいてもらえばよかったと男を見た瞬間思った。
すっごく怖い目をしてる。
それに頬に傷があったりして。
金のネックレスなんてして、いかにも怖いおじさん……。
ヤバイ雰囲気。
「桐原亜李栖さんですね」
太い声で言われた。
「は、はい」
「では、来ていただきます」
いきなりそんなこと言われても。
「あ、あの午後の授業あるんですけど」
「来ていただきます」
そう言って私の制服の肩のところを掴むと引っ張って歩き出した。
「ちょ、ちょっと何するんですか!」
「いいから、来なさい」
叫ぼうか……でも……この人ってもしかして佐々木さんって人じゃ?
いかにもって感じだし。
「佐々木さん?」
「なんだ?」
やっぱりそうだ。
だとしたら、やたらに叫んで騒ぎになっても困るよね。
「離してください。言うこと聞きますから」
手を離してくれた。
黙って着いていくしかない。
こうなったら出たとこ勝負よね。
学校の前に停められた見たこともないような黒塗りの車に乗せられた。
佐々木が運転する。
どこに行くのかな。
着いてきちゃったけど、車に乗るとちょっと怖くなってきた。
まさか売り飛ばされたりとかないよね。
ドキドキ。
10分ほど走ってビルの地下駐車場に入った。
ドアを開けられて降りる。
佐々木の後についてエレベーターに乗った。
点灯しているボタンは最上階。
一体ここになにがあるんだろう。
エレベーターのドアが開いてびっくり。
廊下は絨毯になっている。
ドアとかも普通のドアじゃない。
木製で幾何学模様が彫刻されている。
置物もどうみても安物じゃないよねって感じで。
なんかものすごく場違いなところに来てしまったような気がした。
「こっちです」
「は、はい」
慌てて着いていく。




