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ありす☆らぶ  作者: 湖森姫綺
102/156

no.102

 ******



 沙耶を交えて夕食をする。

 ママは沙耶が来ていることが嬉しいようだったけれど、はしゃぎ過ぎないように気を遣っているようでもあった。


「沙耶、私のベッド使って。ゆっくり眠って。いろいろ考えなくちゃいけないことあると思うけど、焦らないで。そんな簡単に解決できることじゃないし。とりあえずゆっくり寝て、明日一緒に学校行こう、ね」


「うん。あっ、でもベッドはいいよ、アリス。私、悪いし」

「いいの。私、下で寝るから」


 コンコン。


「俺、入っていい?」

「どうぞ」

 宮川が入ってきた。


「お兄ちゃん、ごめんね。色々と」

「いや、別にいいけど。大丈夫か、おまえ」


 やっぱり気になってるんだよね。

 もう守ってやるのは俺じゃないとか言って。


「うん。なんか優しくされて泣けちゃうね。アリスにも今、ベッド使っていいよなんて言われて……」

「沙耶……、私にできることならなんでもするよ。だから……」


「ありがとう、アリス」

「うん」

「そんじゃ、アリスは俺んとこで寝ろ」


「へっ?」

「えっ?」

 沙耶と二人で宮川を見てしまった。


「あっ、いや、わざわざ布団敷くのもなんだしよ。あっ、でも二人でしゃべりてーか。まっどっちでもいいけど、明日学校だしよ、ちゃんと寝ねーとな。じゃな」


 そう言って宮川は出ていってしまった。

 はー。


 なんだかなぁ、私はどうすればいいの。

 沙耶も辛い時だし、先輩だって平気な顔してるけど、本当は辛いはずだし……。


「ねっ、アリス、もしかしてもうお兄ちゃんと……」

「えっ?」

「お兄ちゃんといくとこまでいった?」


 ボッ。

 い、いきなりそういうこと聞かないで欲しい。


「あ、あの……」

「やだ、アリスってすぐ顔に出る。真っ赤だよ」


 沙耶がやっと笑った。

「沙耶があんなクリスマスプレゼント用意するからだよ」


「あははっ、もしかしてあれ、着たとか?」

「う、うん」


「うっそー」

「だって着ろってゆーんだもん」


「えっ、お兄ちゃんが? やだぁ、お兄ちゃんってエッチ!」

「でしょ、でしょ? 恥ずかしかったんだからねー」


「で、いつ?」

「へっ?」


「だから、いつそうなったの?」

「えっと、あの、イブの……」


「そっかぁ、だから初詣の時、大人っぽく見えたんだぁ」

「そんな……」


「あの時、なんか変わったなぁって思ったの。はずれじゃなかったんだね。雰囲気っていうか、なんとなく違うなぁって」

「そんなわかるの?」


「うん。毎日見てたんだからわかるよ。よかった。ちゃんと幸せでいてくれて」

「沙耶が言った通りだね。ちゃんと変われるって言ったでしょ。そういう時が来るように変われるって」


「そうだね」

「沙耶も変われると思うよ。……っていうか、きっと沙耶と沖野君、そしてお父さん。みんな変われると思うよ。すぐは無理かもしれないけど、きっと変われると思うよ。ずっとこのままなわけないもん」


「うん。変われたらいいね。本当に……」

「もう寝たほうがいいよ。沙耶。疲れちゃったでしょ。私、どうしたらいい? 一緒にいようか?」


「ごめんね、今夜は一人がいいかも……」

「わかった。じゃ、ゆっくりね。あまり思いつめないで」


「ありがとう、アリス」

「おやすみなさい」


 私は宮川の部屋に行った。

 コンコン。


「あの、いい?」

 ドアを開けるとベッドに腰掛けてこちらを見ている宮川。


「入れよ」

「ごめんね。あの、沙耶、やっぱり一人がいいって」


「こっち来て座れ」

「うん」


 隣に座ったものの、なにを話していいのかわからない。

 今日は本、読んでないんだね。


 きっと先輩も辛い思いしたんだよね。

 こんなとき、本なんて読めないよね。


 私は宮川の腕に抱きついた。

「ねぇ、先輩。先輩のお母さんってどんな人?」


 ものすごく唐突だったと思う。

 でもなんだか知りたくなったんだ。


 会社がお父さんを変えたっていった人。

 そうなる前は愛し合ってたってことだよね。

 そんなお母さんってどんな人だろうって。


「ご、ごめんね。あの……」

 やっぱり今、こんなこと聞くのヘンだと思って慌てて言ったものの……。

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