前置き 無価値ライフスタイル
どうも鬼無里です。ミリタリーの無い、中世ファンタジーでもない、現実VS空想といった戦争ものを書いてみたいので挑戦してみます。あと、漸くヤンデレを書いていく決心がついたので、温めていた話を書いていきます。
最初の五話ぐらいまでは一応原稿はあるので、まだ打ち込んでませんが、ある程度定期的に書いていきます。他の作品は、おいおい。今年中は無理かも。
生まれたことに意味があるとか、生きていることに価値があるとか、何かと生とか生命とか人生とかの有意義さを表す詩とかスローガンとか名言とかがあるけれど、僕はああいう言葉が少しばかり大嫌いだった。
少しばかりというのは程度を表しているのではなくこの場合、全部を否定するのではなく、嫌いな部分が少しばかり僕にとってはあり、その部分だけがどうしても大嫌いなだけであるという意味である。決して矛盾ではなく、言い表し方の問題。まあ、僕の言葉のボキャブラリーが少ないだけなのかもしれない。言葉を説明することが最も難問なのだ。
生まれたこと、生きていること、それは確かに素晴らしくあり尊ばれ貴ばれ、多かれ少なかれ称賛される事項なのかもしれない。いや、称賛されるべき事実なのだろう。
しかし、内面、その実、含むところを曲解まではいかなくても捻くれて、偏って、穿った見方――とまではいかなくても、裏というか反面を解釈すると、生まれたことに意味がなければならなくなり、生きていることに価値が見出されなければならなくなる、といったことを言外に、字面の範囲を超えて、僕等に言いつけているように思われて仕方ないのだ。
これらは自分なりの考察というか被害妄想なのかもしれない。でもいきなり唐突に、『君の誕生に意味があり、君の人生に価値があるのかい?』と尋ねられたとき、間違いなく僕は答えることができない。いや、唐突でなくても、じっくり家に帰って考えてきてくださいと宿題にされても、僕は解答できない。難問ということではない。解答して回答するその行為ができない。
しかし、敢えてこの課題に対して答えを埋め合わせるとするならば僕はこう書いておくだろう。
『あなたがその意味と価値を決めてください』
僕はこう返事をするしかない。
多分、バツを書かれることは間違いがない。
答えを他人に委ねるというのは問題放棄と変わらない行為ではあるのだから。
いくら数学の答えが分からないからといって採点者に答えを書いてもらうことを請う訳にはいかないのだから。
でも、代わりにならないことはない。
代替は可能なのだ。
ペーパーテストでは確かに、自分以外の誰かに答えてもらうことはできない。しかしながら、こと現実に於いては自分ではない別の誰かに、自分の問いを答えてもらうことはできる。
質問、相談、会議、談話、交渉。
まあ、何でもいい。
大切なのは自分一人ではなく他の皆に頼み教えを請い代弁してもらえる状況であり、内容なのだ。
だから、自分の誕生の意味と人生の価値を他人に決めてもらっても有り、と僕は言っていいと思っている。
だからこそ、僕は嫌いなのだ。大嫌いなのだ。
状況と内容が許せば自分自身根幹に関わるようなことでありながらも自分ではない他人、それが家族であっても友達であっても恋人であっても、勝手に、認めようが認めらていまいが決められてしまうから、嫌いなのだ。
生まれたことに意味を載せ付けるな。
生きていることに価値を張り付けるな。
たとえ意味が無かろうと価値が無かろうと存在するものも確かに存在するのだから。
有意義でないからといって、意味や価値を付けようとするな。
存在しないように扱うな。無碍にするな。差別するな。イジメ反対。
で、もう一つ嫌いな部分がある。これは理論も屁理屈もない。
純粋に誕生や人生に意味や価値を見出している奴らに限ってこういった文句を謳うことが、無性に気に喰わないのだ。
ああ、そういえば『君の誕生に意味があり、君の人生に価値があるのかい?』という問いに僕が答えられない理由を示し忘れていた。
僕は生きていない。僕こと宇祖月誠は、宇祖月ではないし誠でもない。僕が本来誰の子であり、どういった環境を育って、今現在を生きているのかを証明する方法がない。僕には記録がない。存在していた事実も経歴も何も残っていない。僕は僕じゃない誰かと代替可能であり、いつの間にか消え去っていても何ら支障も不都合も生まれない。生まれていないならば何もない。僕には何もない。何も残っちゃいない。
僕は誕生もしていなければ人生を生きていない、だから答えられない。
それが答えにならない誠実な答えである。
さて、物語に入る前に、過去のことを少しだけ書き残しておこうと思う。
私立の一般的な中学生であった僕は様々なクラスメイトや家族である姉妹や幼いころに逢った占い師のおねーさんと保護者の気狂い科学者(女性二十代前半)と仲良くもなく平穏でもないくらいに過ごしていく。事件やイベントが起きようと人間として成長しなかった僕はそのまま中学校の系列の私立高校に入学し、中学のころと特筆するほど変化のしない生活を送っていた。
そして、僕は気が付けば世界と世界の戦争の真ん中に立たされることとなった。
これは僕の物語。軍記。戦記。闘争の話。
決して負けることなく僕が戦い続ける話。
現実世界で異世界無双してハーレムが作られていく話である。
まあ、誰も無傷とは言っていない訳だが――