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Sister Complex=Brother Complex

作者: 綾姫

シリーズものとして書き出した1話ですが続けれませんでした・・・

「なっちゃんってゆーの? はじめまして、るなです」

「るな…ちゃん?」


まるっと1年歳の離れた弟は。

とてもとても、可愛かった。


+ + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + +


「なっちゃんなっちゃんなっちゃんー!」

「なんだよ、朝から騒々しい!」


冷房の効いた部屋で、外から弟の名前を連呼する姉に俺―凪月ははぁ、と溜息をついた。

せっかくの、何も予定の入っていない休日。

怠惰に昼まで寝て過ごそうと思っていたのに―それも姉の叫びで邪魔されてしまった。


「で、どうしたんだよ」


ガチャ、と部屋の扉を開けると一気にむわん、という熱気と湿度にウンザリする。

時計を見たわけではないが、すでに結構いい時間らしい。

自分の名前を連呼していた姉は、部屋の前で泣きそうな顔をしながら、バタバタと意味不明な行動を起こしていた。


「なっちゃんどうしよう、ワンピースがぁぁぁ!!!」

「ワンピースがどうしたんだよ」

「チャック閉まらないのー! 壊れた?チャック壊れた?」


ホラ、と長い黒髪を片方にまとめてワンピースのチャックの部分を見せてくる。

途中までしか上がらなかったチャックが、姉の白い背中を何故だか艶っぽく魅せてくる。

それに思わずゴクリ、と喉を鳴らしてしまう。


いやいや、相手は姉だ。


ふるふると頭を振って、チャックに手をかける。


「生地を噛んでるだけだって。瑠那は背中のチャックは苦手なんだから着なけりゃいいだろ」

「だって可愛いんだもん。 なっちゃんだっておねえちゃんが可愛いほうがいいでしょー?」


ありがと、と短く礼を言って瑠那がくるり、とその場でターンする。

ひらり、と綺麗に広がるスカートとちらり、と見える白い太股。

相変わらず色が白いな、などと思いながらもなるべく見ないように気を張る。


「はいはい、瑠那は俺の自慢の姉ちゃんだよ」

「んもー、素直じゃないんだからっ。でもお土産になっちゃんの大好きなDOLCEのシュークリーム買ってきてあげるねっ」

「何処行くんだよ」

「あけちゃんと映画見に行くの。ちゃんと6時には帰ってくるわ」

「ふーん・・・。夕方から天気微妙らしいから、駅着いて天気悪かったら電話しろよ。都合よかったら迎えに行ってやる」

「ホント?! なっちゃんだいすきっ」


小さい体で精一杯瑠那が俺を抱きしめる。

ふわり、と香る―瑠那愛用のシャンプーの香り。

そしてむぎゅ、と当たる瑠那の胸。


…待て自分。

だから相手は、姉だ。

うっかり反応しそうな身体にブルブルと頭を降る。


「じゃ、行ってくるね!」

「ハイハイ、行ってらっしゃい」


階段をパタパタと駆け下りていく瑠那にヒラヒラと手を振って、冷房の聞いた部屋に戻った。


***


その日の夕方。

携帯片手に駅へと急いでいた。


遊びに行った瑠那から電話が来たからだ。

―ただし、遊んでいるときから変なやつが後をつけているみたいだ、と半泣きで。


自慢じゃないが―瑠那はかわいい。

身内の欲目を抜きにしてもかわいいと思う。

近辺では有名な私立女子高に通っていることも、拍車をかけているかもしれない。

何度同級生に紹介しろ、と言われたことか。

―そんなことをいうやつはニコリと笑って制裁を加えたが。


全ての色素が薄い自分と違い、腰まである長い髪は、黒く艶があり、滑らかだ。

性差もあるんだろうけれど、全てが小さくて―それでいても胸はデカいんだから、母親の血はソコに作用しなかったみたいだ。

若干ボケッとしているところがあるから、あまりにも心配で瑠那の通う高校と同じ駅を使う公立高校に入ったのは高校1年のときに散々痴漢にあって泣いている瑠那を見ていたからだ。

―まぁ、その高校が県内でも有数な進学校だったので言い訳に便利だったのは救いだったけれど。


「瑠那っ!」

「なっちゃんー!」


駅について早々、人目の多い改札口―出来ることなら駅員の近くで待ってろと言った俺の言葉を素直に従っている瑠那を見つけ―大声で呼んだ。

今まで不安だったんだろう、瑠那は俺を見つけた途端に駆け寄って、抱きついてきた。

瑠那が事情を話していたのだろう、駅員で近所に住んでいるの近藤のオッサンがニコリとこちらを見て微笑んだ。

力いっぱい抱きしめる瑠那の背中を安心させるようにぽんぽん、と優しく叩きながらペコ、と会釈をする。

俺たちがこの街に越してきたときから、何かと近藤のオッサンには世話になっている。

―特に瑠那関係で。

今度、母親にでも礼に行かせよう、そうしよう。


「ホラ、瑠那。俺が来たからもう大丈夫だろ? さっきまで近藤のオッサンだっていたんだし、瑠那に悪さするやついねーだろ?」

「で、でも怖かった・・・! あけちゃんと別れても付いて来るんだもん…!」


瑠那の友達―あけちゃん、さんはこの駅より2駅先に住んでいる。

そのあけちゃんさんも結構な美少女だ。

おっとりした感じの。


「映画館から出てショッピングに行っても付いてくるし、階段から遠い列車に乗ったのについてくるし、今だってパン屋さんのカフェコーナーにいるんだもん…!」


思わずその言葉に駅に隣接されているパン屋を見やる。

時刻は6時ちょっと前。

休日のこの時間に、男が一人カフェにいるのは少々不自然だ。


「…野球帽を被った、センスねぇ黄色のポロシャツのオッサンか?」

「それ・・・! 早く帰ろ?私もうヤダ…!」


ぎゅー、と俺のTシャツに顔を押し付けてくる瑠那。

ああ、泣いてるんだなぁ。どんどんTシャツが濡れてる。

あー、畜生。我が姉ながらかわいすぎる。


「俺がいるんだから大丈夫だって。第一、俺空手段持ちだぜ? 今までだって何度も瑠那を守ってんだし」


心強いオトートだろ?


そう茶化す感じで言うと、瑠那は素直にうん、と頷いた。

よし。


「じゃ、ちゃんと涙拭け。で、DOLCE寄って帰るんだろ?」

「…うん」


俺から離れて、バッグの中からハンカチを取り出し瑠那が涙を拭くのを待つ。

拭き終わり、ハンカチをバッグに戻すと俺は瑠那の荷物を持ってやり、ホラ、と手を差し伸べる。

その手を瑠那が素直に取ったのを確認してから、俺たちは手を繋いで仲良く家まで歩いて帰った。




あぁ? シスコンだって?

上等。

瑠那より可愛い女なんて、俺知らねぇし?


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