59.ランチ
運ばれてきた料理のアップ。
妻鹿さんの一眼レフの写真が続く。
前菜。オカンが、上品に盛り付けられたパテと温野菜で「はい、あーんして」をやらかした。美味しそうにオカンの分の料理を食べる龍寿。
イケメンでも、食べ物を頬張る顔は間抜けだ。
ホストっぽいジャケットとカラーワイシャツ、一応付けたネクタイはゆるゆる、スラックスは普通だけど、幅広のベルトは、鋲付きでバックルが蝙蝠だ。
男だけど、ピアスとシルバーの指輪をしてる。
髪の脱色が半端でプリン状。全体的にチャラくて、だらしない感じだ。
オカンは美容院でセットしたばかりの艶々の髪。ふわふわの巻き髪にばっちりメイク。
一目で高価とわかる上品なワンピースに、白いレースのカーディガン、ワンピースと同じ若草色のハイヒール。
小さなショルダーバッグは、あれ一個で数十万するブランド物だ。
イヤリングとネックレスも、本物の宝石が付いた高い奴。でも、指輪だけはしていない。
頭の中を数日前に見た通販の伝票が駆け巡る。
服と靴は今日の為にわざわざ買った物だ。
ミニパスタはペスカトーレ。
一本のパスタを二人で端から食べている写真。
デーレヴォには「お菓子でする」って説明した。
あの恥ずかしい説明が無駄に……
姉ちゃんたちに行ってもらってよかった。
テーブルに身を乗り出し、顔を近付けるバカップル。背景に写り込んだ窓際席の客が、半笑いで二人を見ている。
パスタを食べきり、そのままキスする二人を店内の客が笑って見ている。
どう見ても、「微笑ましい」ではなく、絵に描いたようなバカップルをネタ認定する笑いだ。
年相応に羞恥心と言う物を持ち合せていれば、こんなことは不可能だ。




