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碩学の無能力者  作者: 髙津 央
第05章.腕環

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30.諜報員

 (ともえ)家で貰った服を着たデーレヴォが現れる。

 「すっごい……かっわいいいい!」

 姉ちゃんは、デーレヴォに抱きついて、無邪気に喜んでいる。

 銀髪の美少女は、ストレートに()められて照れたのか、(かす)かに頬を染めて、はにかんだ。


 可愛い……この笑顔の為なら、過労死してもいい!


 「あ、この子の晩ご飯どうしよ? 何食べるの? カレー大丈夫?」

 「デーレヴォ、カレー食べられますか?」

 「私には、物を食べる機能がありません」

 デーレヴォは、淡々と答えた。


 ホントに魔力か体力だけで動くんだ。


 それを聞いて、姉ちゃんは、デーレヴォを放して椅子に座り、真剣な顔で考えことを始めた。考え中の姉ちゃんには、話しかけてはいけない。


 俺はそっと立ち上がって、食器を流しに運び、デーレヴォに食器の洗い方を説明した。

 食器を洗いあげ、お茶の淹れ方も説明する。


 テーブルに湯呑みを置くと、姉ちゃんは重々しく口を開いた。

 「この子って……可愛いけど、諜報員……なのよね?」

 「えっ……あ、うん。巴先生はそう言ってたけど……」


 姉ちゃんの向かいに俺、俺の左隣にデーレヴォが座っている。

 姉ちゃんは、お茶を一口すすって湯呑みを置くと、今まで見たこともない険しい表情を俺に向けた。


 「お父さんに、離婚してもらおう」

 「えっ!?」

 唐突な言葉に思考が停止する。


 姉ちゃんは、苦しそうに説明を始めた。

 「お母さんはね、浮気してるの。私は今……少しずつ証拠を集めてて、クレジットカードの明細とかをゴミ箱から拾って、学校のロッカーに貯めてるの。お母さんが毎日何時に帰ってきて、その時、どんな様子かも記録してんの。でも、それだけじゃ、証拠として弱過ぎて、お父さんには言えなかったの」


 全然、知らなかった……


 「今のまま名前を変えたら、絶対、お母さんに殺される。だから、お父さんにお母さんを追い出してもらおう。あんただって、あんなお母さん、いらないでしょ?」

 姉ちゃんと俺は、お互いに名前を呼ばない。俺は無言で頷いた。


 「明日、ICレコーダとカメラ買ってくるから、この子に使い方を教えて」


 デーレヴォという諜報員を得た俺たちは、家族の皮を(かぶ)った敵との戦いを始めた。

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用語は、大体ここで説明しています。

野茨の環シリーズ 設定資料(図やイラスト、地図も掲載)
地図などは「野茨の環シリーズ 設定資料『用語解説17.日之本帝国』
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