EX-4 / Episode 1/4 天使襲来
変更は多々ありますが内容はあまり変えないつもりです
1/4 ―天使襲来―
目の前には白いローブを着用した天使がいた。
赤い瞳と金髪が神々しさをまとっている。
「何用で――?」
そう口にするとさすがの勇者も警戒し距離を取った。
「て、天使だと?」
「まさか空の支配者と呼ばれるのは天使の存在が――知らなかった。」
勇者は驚きを隠せなかった。
そして、クイーンは最後の力を振り絞って言った。
「あの子たちを無事に返してください。そしてその者共を殺してください。」
「「何!?」」
天使は小さく首を振った。
「この召喚の完成度では不可能です。どちらかを選びなさい。」
「で、では―――。」
言いかけている最中に力尽きてしまった。
クイーンの身体から力が抜け、地面に崩れ落ちる。
その瞳にはもう光はなかった。
勇者は落ち着いた途端に嘲笑い始めた。
しかし天使は言葉を悟ったかのように動き出した。
そして子供たちを抱きかかえて去ろうとした。
「ま、待ちやがれ!! 天使か何か知らねぇけど俺たちの獲物だ。逃げるってーなら容赦しねぇぞ。」
「そうですね、所詮は下級天使見かけ倒しの雑魚なはずだ。」
「…………。」
天使は黙って去ろうとした。
「図星だったか?逃げてんじゃねーよ!」
そう言うと、勇者たちが瞬時に攻撃を仕掛けてきた。
「火炎球!」
天使は片手を振りかざし魔法を無効化する。
「天使と悪魔は魔法に強い耐性を持つと聞いていたがこれほどとは!?」
「下級の天使でもこれほどの実力を保持していたのか」
そして天使は静かに告げた。
「確かに…私はまだ誕生したばかりの下級天使しかし、天使には生まれたばかりでも上位天使たちと共通の技があります。」
そう言うと天使は見せつけるようにして、技を繰り出した。
「《聖延弾劾宣告》」
すると光を宿した鎖が地面から発生した。勇者たちは完全に動けなくなった。
「クソ、動けねぇ………。」
四方八方に複雑な魔方陣が形成され、その間を光が貫いていく。
完全に手遅れである。
声を出そうにも光が貫いていて声が出せない。
勇者たちは貫かれ視界は白で覆われた。
周りにいる者たちも光で視界が見えなくなっていた。
一方で近くにいた勇者が違和感を察知した。
「なんだあの光は…?」
みんなが驚いた顔で見つめていた。
「急げ!!…速攻向かうぞ」
「それと"女神"を起動させ、前線に送れ!!」
そう言うと勇者たちが光の方へ走って行った。
「ぼ、ぼぼぼ僕のむ、しゅめがァァァアア!!
返せッ……それは僕のだッ………。」
部下が近づいてきた。両手を伸ばし、光に手を入れたが触れた部分がどんどん消えていく。
血さえも瞬時に蒸発し、なくなっていく。
ピカッとさらに眩しい光が広がっていった。
「眩しッ、………。」
部下が目を覚ますと。
辺りはなにも残さずに綺麗な球体に切り抜かれた大地が広がっていた。
天使の姿はなく勇者の一角は灰すら残らずに消えていた。
部下は近くの現場にいた別の勇者が駆けつけ間一髪で救出された。しかし、手足は跡形もなくなくなっていた。
超高温により出血は全くない。
ヒーラーたちがすぐさま回復魔法をかけるが全く復活しない。わずかに復活した部分も高温によって溶けていく。
「クァァァァァアアアーーーー!!!!」
情けない声を上げた。
部下や周辺の者たちには魔法阻害がかけられていて回復魔法がほとんど効かない。
また、時は少し戻る
光の後…女神たちがいっせいに天使に向けて攻撃を開始した。しかし不完全体であり、しかも魔物特化の女神は天使の敵ではなかった。
華麗に回避し、スキルによって瞬時にワープしたのだった。
天使を信じていなかった勇者は唖然としていた。
そもそも天使はこの世界には存在せず魔界と呼ばれるところに存在しているからだ。
それも伝説上の話であり信じるものは少なかった。
天使が大げさに現れたのは実に何十年ぶりだったからだ。
子どもたちが目を空けた。そこは全く見たことのない光景だった。
何が起きたのか全く覚えていない、最後の記憶は人間たちに馬車のなかで奇襲され意識を失ったのが最後だ。
辺りを見渡すと草原と綺麗な小川が流れていた。気圧から推測するに標高がとても高い。
幸運なことに下の方に小さな集落があった。
そこに行ってみると見慣れない魔物たちが多く揃っていた。角の生えた物たちであった。
2/4 ―魔王の城にて―
魔王はクイーンが天使を召喚できることに深く驚いていた。
そんな話一度も聞いたことがなかったからだ。
天使という存在は知っていたがまさか身近な存在が天使を召喚できるとは、
魔王は目を大きく見開いて、笑い始めた。
身近な存在の死に涙一つ流さない。
魔王の泣き面は似合わないし、泣いたって変わらない。このような経験はたくさんあったからでもあった。しかし自分の不甲斐なさに若干のイラつきを感じていた。
魔王はついに行動に出た。
召喚者が来る前にボア達を城に呼び戻した。
作戦会議をし、装備を整えた。ゴブリンと残りのボアを引き連れて、人間との戦いに終止符を打つときが来たのであった。
ルルシア : 「ついに行かれるのですね。」
「あぁ、もう黙って見てるわけにはいられない。」
「女神や勇者が脅威なのはわかっている。」
「しかし、じっとしてはいられないのだ。」
魔王バルザークの決心は絶対に揺るがないものである。それを知っていたルルシアは止めようとはしなかった。
ルルシア : 「わかりました。私も同行します。」
「あぁ、頼んだぞ」
ルルシアはテーブルに置いてある飲みかけのワインとグラスをかたそうとした。
その時、大きな揺れと禍々しいとてつもないオーラが魔王の城を襲った。
ルルシアはグラスをテーブルに置き直しすぐさま駆け出した。
ルルシア : 「何があったんですか?」
バルザーク : 「女神が前線に到着したかと思ったら人間と強制的に契約をし始めたぞ。」
さすがの魔王と秘書も絶句である。
一人ひとりが勇者かそれ以上のオーラを放っていた。
3/4 ―女神襲来―
少し前、召喚者パーティーたちに上層部からの連絡があった。
内容は、
魔王とその配下たちは魔王のスキルによってランクが格段にアップしている。
なのでこちらは召喚者一人ひとりに助っ人として女神を送らせる。そして、勇者たちと合流次第、魔王の城へと突撃し、魔王を打ち倒す
という連絡だった。
その通りに棺に入った女神たちがポータルを経由して送られてきた。
棺には召喚者一人ひとりの名前が書かれてあり自分の専用の女神がいるらしい。
結月のパーティーメンバーのBKはすぐに自分の女神が入った棺を見つけた。
棺をこじ開け女神を起動した。
普通、女神は勇者などの従者として勇者の魔力を向上させ、サポートする役割である。
召喚者はそんな女神をいつか手にしたいと願っていた。
結月も自分の名前が書いてある棺を見つけた。
しかし、とてもではないが少しの抵抗を覚えた。
自分の名前が刻まれた棺を見てつぶやいた。
「まるで…僕が死んだみたいじゃん……。」
周りを見渡すとよろこんで契約している人々がたくさんいる。不安を押し殺して、棺を開けた。
まわりには白い綺麗な花が添えられていた。
なかには青い瞳に赤い瞳の少女、女神がいた。
女神を起動しようとした、しかし自分の意思がこの気持ち悪さに抵抗し棺に蓋をした。
勇気のない僕は仲間たちの元へ向かうことにした。
パーティーメンバーはそれぞれ女神を従え、名前をつけることに成功したらしい。
メンバーのBKはドヤ顔で女神を見せつけてくる
「俺の女神なかなかにべっぴんだろ、俺も溜まっててさー、今夜、魔王を倒したら、こいつでどこまでできるか試してみようかな?」
そんなどうでもいい会話をしていたときであった。
女神たちが異様なオーラを解き放し主である召喚者たちに牙を向けてきた。
「契約……略奪し…、―――。」
よく聞こえなかった…しかし何かまずいことが起きようとしていたのは明白。
僕はBKを守ろうとした。しかし、すでにBKの女神は不気味な笑みを浮かべていた。
すると、突如として悲鳴が次々と聞こえ始めた。
女神が主である人間に、侵食を開始していた。
僕はあまりにも残酷な光景に腰を抜かしてしまった。
そして恐ろしい光景を目にした。
僕の女神が棺の蓋を吹き飛ばして出てきたのである。
僕は全身が金縛りにあったかのような恐怖に駆られた。
頑張って足をバタバタさせて逃げようとしたが女神は瞬きをした途端に棺から消えていた。
そして次の瞬間には目の前にいた。
僕は完全に硬直した。
女神は僕のへそから胸、首を冷たい指でなぞり始めた。
僕は怖くなり下を向いた。
なぞった冷たい指は僕のあごらで止まり、
顔が見えるようそっと上げた。
そして笑みを浮かべて、顔を近づけてきた。
女神が耳元でつぶやいた。
「タベちゃいたい――。」
ぎこちない喋り方であったがはっきりと聞こえた。
怖くなり周りを見渡す。周りの人たちはもうすでに侵食されていた。僕のパーティーも含めてみんな。
「ッフフ――。」
そう最後に耳元で呟くとあごのあたりから侵食が始まった。女神は姿を消した。
侵食はあっという間だった――。
4/4 ―抗い―
上層部の会議が開かれていた。
勇者による報告があった。ハーピークイーンが天使を召喚したこと。女神が召喚者に侵食を始めたこと。そして魔王本人も行動を始めたとのこと。
上層部 : 「あの国の隠していた女神は凄まじいな。」
「とてつもなく強いではないか!?」
「これはもう人間陣営の圧勝よな」
「ええ、天使は予想外でしたが後はもう作業に過ぎません。」
と上層部の人間たちが話しだした。
「本人が契約した天使は100%の確率で肉体と魂を支配することができる。」
「100%だと!?しかし、契約しなかったものはどうなる?」
「女神たちが強制的に起動し、契約させるようになっています。」
「素晴らしいな」
「そしてこちらはさっきと比べては劣るものの約90%の確率で肉体と魂を奪えるようになっています。」
「ッフ、魔王に少しばかり同情してしまうな。」
結月は深い海にでも溺れた気分だった。
身体は動かず声も出ないが女神の気配がする。
「あーあ、」
女神の捨て台詞が心の中から聞こえた。
侵食がだんだん引いていった。
「は、はぁーはぁー!!」
息ができ、意識がはっきりと戻ってきた。
焦って周りを見渡す。
「誰も…いない――。」
と思った。すると極少数の人が遠くに倒れていた。
遠くでは凄まじい魔力と魔力のぶつかり合いが感じられた。
侵食され、疲れた身体に魔力の波長が流れ込む、
結月は、再び気絶してしまった。
次話も気楽にお読みください




