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転生したら俺様猫のつくも神がついてきました 『魔術学院編』  作者: にゃん之助
4章 結晶の欠片と王城からの呼び出し
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056 元気な島(2)




「やだなー。ああ、やだなー。えい、『真色眼』対象ガラガラだ。くそっ!」


 ピコン! ピコン! ピコン!


 え、囲まれているの?


「風の道」


 バチッ! バチッ! バチッ!


 青白い炎が3つ地面に炸裂(さくれつ)していた。


 『白』は上空に浮いている。おれの風の道の中だ。とっさの判断だったが、どうやら間に合ったらしい。直撃しても結界が発動するので被害は無いが、そのまま囲まれてしまう恐れがあった。


 地面には、元気な奴らが3体お出ましだ。


 体長は1.5メートル位か、あいつの半分だ。


「おい、シンティ、何かいい魔法ないか」


 嫌そうな顔をしている少女に聞く。


「イカヅチとは違うようね。でも、かなりの高温よ。周りの魔力草が燃えてまた再生している」


 おお、本当だ。すごい。確かに元気だ。


 蛇たちもしきりに尻尾をガラガラと振動させている。炎を蓄えているのだろう。電離気体(でんりきがいたい)状態か。



 うーん、そう言えば、エスプリさんが言っていたな。


「火はやんちゃだった気がするな」と。


 ならば、何とかなるかも知れない。


「シンティ、どんなことでもいい。見た目が派手で精霊達が大喜びしそうな美しい魔法はないか」


 日本にいた頃なら花火だが、この世界では見たことないな。


「魔法じゃないけど、金属の粉が火に入ると色つきの爆発みたいなのが起こるわよ。危険だから絶対にやらないけど」


「ああ、確かに。それ危険だから絶対駄目なやつ。却下(きゃか)だな」


 今ここにある物となると、あれと、これか!


「シンティ、火柱(ひばしら)魔法だ。魔法陣とおれの風に道で派手に演出する」


「わかった、どこに発動させればいいの」


「おれの周り3メートルぐらいの所にどんどん作ってくれ。おれが魔法陣で飛ばす」


「わかった。いくわよ」


「火柱魔法 連続発動」


「魔法陣展開『移動』」


『移動』は、重いものを運ぶときの補助として使う事が多い。それを、火柱を運ぶにの応用してみた。


 火柱を『ガラガラ』の周りにいくつも並べていく。そして、


「風の道 縦型」


 竜巻だ。以前、サクラさんが岩に張り付いた(つた)を吹き飛ばすときに使っていたやつだ。


 火柱が『火災旋風(かさいせんぷう)』になった。


 ドゴーン! ドゴーン! ドゴーン!


 轟音(ごうおん)を立てて竜巻になった火柱が何本も空に突き刺さる。


 火属性魔物達もこの熱量には耐えられないようだ。()()づいている。


「これで終わりじゃないぞ!」


水蒸気爆発(すいじょうきばくはつ)だ!」


 ピラニアの水属性魔石を発動させ、火災旋風の頂点に転送した。この魔石はつくも(猫)が料理するときに出た廃棄物(はいきぶつ)だ。


 炎の中には砂鉄を含んだ土が高温になって固まっている。そこに、水属性の魔石が発動した状態で放り込まれると、水と熱が反応して急激に水蒸気になる。体積が約1670倍になる水蒸気の膨張力(ぼうちょうりょく)が周囲の炎を爆風で吹き飛ばす。


「たまやー」


 花火のときによく使っているけど、どんな意味があるのだろう?


 炎が花火のように周囲に散っていく。砂鉄が燃えて火花が散る。本当に花火みたいだ。


 よし、かなりびっくりしているけど、精霊達も大喜びだ。


 蛇さんトリオは、仲よく火属性の魔石に変身していた。

 

「シンティ、火属性の魔物もしばらくは近寄らないだろう。欠片を探すぞ」


 今までの流れだと、派手に魔法や力を使った者が見つけている。シンティはどうだ。


「カナデ、見つけたみたい」


 シンティがあっさり見つけた。真っ赤な結晶の欠片だ。蛇さんトリオの魔石といっしょに並んでいた。いつからそこにあった。




 ドゴーォォォォォォォン!


 つくも(猫)達がいる方角で派手な火柱が上がっていた。


 おいおい、島を破壊するなよ。




 バチバチバチバチ!


 イグニスたちがいる方角で、火花が舞っていた。


『風の森』は、全員がAランクの属性魔法使いだからな。本気を出したら半端(はんぱ)ないぞ!




 あの分だと、全ての組みで欠片は発見されるな。さて、ならこっちは本体を探すとするか。


「シンティ、欠片をソフィアに渡して」


「うん、どうぞ」


「ありがとうございます……元気ですね!」


 ソフィアががっくりしている。そして、指さした。


「あっちです」


 島の中央を指さしている。


「風の道」


 ソフィアが示した方角に向かって、銀色の風の道が延びていった。


(つくも、本体は中央だ。来てくれ)


(こっちも欠片は見つけた。イグニス達を拾ってから行く)


(よろしく)


「イグニス達を拾ってくるって」


 犬みたいだけど似たような感じだしいいか。


「発進」


 1分ほどで目的地に着いた。


 そこは、陽だまりだった。直径50メートルほどの円形になった丘があり、その真ん中に、真っ赤な精霊結晶がひなたぼっこをしていた。


 周りには、魔物達がやはりひなたぼっこをしている。戦いに疲れた戦士が休む場所みたいだった。




 やがて、『紅』が空から降下してきた。イグニス達が車両にへばりついている。


 着地した『紅』から、トン、とサクラさんが降りてきた。


「カナデさん達も欠片を見つけたんですね」


「はい、シンティがあっさりと……」


「私達もです。イディアがあっさりと……」


「すまん、おれたちもだ。おれが見つけてしまった」


 イグニスが恥ずかしそうにしている。


「ここは、和やかですね。魔物達がひなたぼっこだなんて見たことないです」


「戦士の休息なんでしょうね」


 ソフィアがなぜか嬉しそうだ。剣士の何かに触れたのだろうか


「取りあえず、ベニザクラ号元に戻しますね」


 一瞬で歩行型に変形した。


「ソフィア、お願いできるかな」


「わかりました」


 動かない魔物達の間を通って、赤い精霊結晶に近づき、そっと触れた。


 シュパーン


 光の線が打ち上がった。




 時が止まった!




「なんかすごく順調ね。今までの6万年は何だったのかしら?」


 女神、エスプリさん登場である。樹魔車両から降りてくる。結晶見た。


「ああ、そうね。この子はこんな感じの子だったわ」


 やんちゃというより人生を楽しんでいる感じだろうか。結晶に人生があるのか知らないが。


「ありがとね。あと2つの島だけど、この調子でいくのかな」


「うーん、もしかすると次の(じゅん)はだめかも知れないです」


「ええ、そこは任せるわ。ただ、真ん中の島は、私も知らないのよ。いつの間にできたのかしら?」


「結界みたいなものがあるらしいです」


「ああ、ξυωψσμιβιΔΜΝΠΩτνΦΗΠβρθΤΞΖμνηυσδΝΗΙΚ……だめなのね」


「はい、変換されません」


「そこもお任せね」


 ウインクをされた。ドキッとする。


「ねこちゃんには分かったみたいだから、困ったら相談してね」


「はい、わかりました」


「この子、このままでもいい気がするけど、そうもいかないのよね。じゃ連れて行くわね」


 赤い精霊結晶を連れて、樹魔車両の中に入っていった。




 時が動き出す。




 欠片は3つだけと言うことか。


「女神さん、帰ったんですね」


「はい、あっさりと」


「じゃ、私達も帰りましょう」


「ですね」




 ここにいると、また元気な奴らが(いど)んでくるかも知れない。それは面倒だ! 全員の思いが一致して、いったんラルタ島に行き、そこで一晩過ごしてから帰還することにした。


 夕食は、ピラニアのフライだった。この島の生態系も限界だ。大がかりな駆除(くじょ)が必要だろう。


 ご機嫌で、30メートル級の(うなぎ)(さば)いている猫を見ながらそう思った。





次話投稿は明日の7時10分になります

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