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転生したら俺様猫のつくも神がついてきました 『魔術学院編』  作者: にゃん之助
4章 結晶の欠片と王城からの呼び出し
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052 王都のねこちゃん工場 ★




 王都は、貴族用の居住区。平民が住む住宅や商店が集まっている区間。


 大規模商店、専門店、料理店、劇場、闘技場、ホテル、行政機関などが集中している繁華街(はんかがい)が、はっきりと分かれている。


 貴族と平民が両方集まる場所では、貴族も権力を盾にした極端な事はできない。守衛達もそれを許さない。手に負えない場合は、王城の騎士団が対処することになっている。


 アルティーヌがいち早く、王子の元に駆けつけられたのも、伝書魔鳥による連絡システムが有効に働いたからだ。


 その他の区域には、小麦などの食料を生産している農業区と工房、鍛冶場、製造が集まっている工場区がある。ブラキオの素材処理工房もこの区画に入っている。


 そして、新たに『水田』が、新しい区として加わることになるかもしれない。


 猫が尻尾(しっぽ)をピンと立てたシンボルが描かれた工場は、このどの区画にも入らない場所にひっそりと建てられていた。


 工場の前には、マイアコス製の魔動車が何台も停まっていた。黒い車体には、すべて猫のシンボルが描かれている。


 そこに、紫色の樹魔車両も1台停まっている。ディスポロ商業公国イオレット商会の紋章が掲げられてる。


 この商会は店舗を持たない。拠点には、小さな事務所があるだけだ。販売は、全て移動できる魔動車、魔鳥車、樹魔車両で行う。次元箱が存在するこの世界では、それでも商売ができるのだ。


 紫色の樹魔車両も、普段は偽装している。それは、この車両の持ち主が有名だからだ。この男は3つ名前を持っている。


 1つ目が『ランタナ』だ。イオレット商会の会長であり、自身も有能な商人である。彼の一番の才能は人脈作りだ。様々な国に彼の協力者がいる。


 2つ目は『ランダナ』だ。S級冒険者の肩書きある。『ランタナ』と『ランダナ』は、2つの人格が1つの体を共有して使っている『二重人格者』である。


 3つ目が、象徴名である『ランタナチア・セルビギティウム』である。つまり、サクラシアの兄である。




 工場内には、受付と総務室の他に接待用の貴賓室と一般室、会議室、食堂が完備されている。


 その会議室の壁際にある展示ケースには、この工場で作られている製品が並んでいる。


 1つはトイレで使う分解効果がある紙や多目的用の薄紙。


 2つめは、その紙を入れる簡易型次元箱。


 3つめは、温水シャワー付きの便座。


 4つめは、便座とセットで売り出す、トイレ専用の簡易型次元箱。


 5つめは、特殊な黒板用の塗料が塗られた板『小黒板』。


 この5つが、今この工場で作られる、『エレウレーシス連合王国』向けの製品になる。この他の国にも、その国にあった仕様の同じような工場が次々に建設されている。


 次元箱自体は、入り口の町の次元箱工房で作られている。それを、イオレット商会所属の樹魔車両が運搬(うんぱん)している。工場では塗装と飾り付けをしている。


 工場の敷地面積は、約50000平方メートルある。これは、東京ドーム位の大きさになる。そして、他にも、次々と指示される事になる製品作りに対応できるよう、かなり広い場所が空いたままになっている。


 ここで働く従業員達は、みな同じ絵柄(えがら)のペンダントをしている。そう、あの猫のシンボルだ。そして、本人認証をしたこのペンダントがない人は、この工場内には入れない。ドアに特別な結界が付与されているのだ。この付与技術は公開されていない。誰も真似できない特別な仕掛けになっている。


 また、ここで働いている従業員のほとんどが、入り口の町の住人だ。12月から3月までの3ヶ月間に人が集中することになる。冬の間の出稼ぎなのだ。給料も待遇も、福利厚生(ふくりこうせい)も申しぶんない。敷地内にある社員寮から希望するだけ働ける。


 今は、稼働(かどう)し始めたばかりなので、8月頃まで働いてくれることになっている。もちろん、希望者はその後も働き続けることができる。


 王都でも採用は始まっている。徹底した身元確認と人格確認も密かに行われている。適材適所(てきざいてきしょ)で人材を振り分けるためだ。




 真新しい工場の会議室に、紫色の髪の毛を持つエルフと工場長である『ノスコーノ』が、向かい合って座っていた。


「ランタナ様、製品の大量生産をする準備が全て整いました」


「入り口の町から来た人材の教育はどうなっている」


「順調です。というより、かなり優秀です。特に計算力や暗記する能力が高いです」


「やっぱりな、カナデの言った通りだ。入り口の町の住人は進化している。やはり、濃い魔素の影響か……」


「それでは、いよいよ営業開始でよろしいでしょうか」


「ああ、もちろんだ」


「王都の店舗はシアンテ商会のロギス様が管理してくださることになりました」


「ははは、あいつか。相変わらす目ざとい。まあ、熱烈なカナデの支持者でもあるからな。安心して任せられるな」


「ドモンも圧力を掛けてきました。ナツメ様に対処していただきました」


「拒否権を発動したか。そうか、もう、ここまで嗅ぎつけてきたか。やはり、侮れないな」


「2つ、大事な事が決まっていません」


「なんだ」


「代表者の名前と社名です」


「カナリズマだ!」


「はい?」


「『カナリズマ・デ・トゥーラ』が社長の名前になる。 そして、社名は『ねこちゃんじるし』だ!」




 この工場は、カナデ達が、貴族達の抵抗勢力や利権や既得権を求めて介入してくる他国の権力者達と渡り合うために必要になる。


 カナデが「相談しよう」。そう決心したときから、少しずつ動き出してきた事の1つである。今は、入り口の町全体を巻き込んだ、大きな事業になった。


 入り口の町の為政者達も、刻々(こくこく)と動いていく他国の思惑(おもわく)に危機感を感じていた。両方の利益と思想が重なり、協力体制が整ったのだ。




「10層にはたぶん可能性しかないぞ」


 神獣であるつくも(猫)の言葉である。


 可能性、自分たちが思い描く全てがあるのではないか。それを、他国のライバル達に渡してなるものか。


 圧倒的な力を手に入れられるかもしれない。こんなチャンスはもう二度とない。


 こう思うのは、人として自然だろう。それを手玉(てだま)に取れるのは、圧倒的な力『神装力第三権限』の神力を得た、探求者とその仲間達だけだろう。





次話投稿は明日の7時10分になります

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