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転生したら俺様猫のつくも神がついてきました 『魔術学院編』  作者: にゃん之助
4章 結晶の欠片と王城からの呼び出し
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045 脳筋剣士




 ベニザクラ号の車内は(なご)やかだった。ここが危険な島だということを忘れてしまったような雰囲気だ。


 大樹の森でも、ベニザクラ号の中だけは別世界だった。私もすっかりそれに慣れてしまった。それが間違っているとは思わない。


 なぜなら、それが私とつくも(猫)の願いだったからだ。サクラさんがいる場所は、この星で一番安全な場所であってほしいと。


 だが、今は少し違ってきた。仲間が増えたのだ。私とつくも(猫)が心から守りたい仲間がたくさんできた。こんなに嬉しいことはない。


「エル、作戦会議だ! 状況が変わってきた」


 リビングに全員が集まった。11人と1匹がいる。ここもずいぶん狭くなった。


「緊急作戦会議です。隊長報告をお願いします」


「ちょっと、様子をみてきた。おれの真色眼で確認したら、この島は『毒性植物魔物』の島だということが判明した」


 全員が顔を見合わせた。さっきまでの和やかな雰囲気はなくなった。


「どんなやつらだ!」


 イグニスが風の森リーダーの顔になった。


(とげ)がついた(つた)で襲ってくる。上からも下からもだ。そして、その棘にはきっと毒がある」


「蔦持ちはそいつだけなの」


 マーレだ。


「わからない、様々な種族が蔦を含めた特技持ちだと考えよう。特定は困難だな」


「毒はやっかいっすね。状態異常無効化はどの程度有効っすか」


「それも未定だ。神力でも絶対はない」


「ξιθΣΘηρφωξΞの技術に関しては絶対だぞ! だが、俺様の付与(ふよ)に関してはまだ未熟だ。認めよう」


 最初の方は神語か、翻訳できなかったな。


「神装結界は絶対でいいだろう。だから、基本結界を張って行動する。たしか、全身に(まと)う結界を発動できるのがおれとサクラさん、ジェイド、ソフィア、リーウス、クエバだな」


「カナデさん、纏えますが長くは無理です」


 ソフィアさんがすまなそうに申告(しんこく)した。何人かがうなずく。


「となると、やはり物理的に切るしかないか……」


 脳筋剣士を見た。ん、なんだ、やるのか! という表情だ。


「イディア、これからとても大事な事を聞くぞ。よく考え、そして、正直に答えろよ」


「……」


「おまえはソフィアの護衛だ。一番優先されるのはソフィアだな」


「当たり前だ。考えるまでもない!」


「だいぶ意地悪(いじわる)な質問をするぞ! なら、おれたちは何だ」


「……う、それは、仲間だと思っている」


「どっちが大事だなんていうバカな質問はしないぞ。だが、軍隊での作戦行動だったらどうする」


「……くっ、嫌な質問だな! 今は学生だわからん!」


 苦虫(にがむし)()(つぶ)したような表情だ。本当は、答えがわかっているのだろう。


「わかった。悪かったな意地悪なことを言って」


 ふん、とそっぽを向かれた。


「イディア、頼みがある。おまえの仲間を守ってくれないか」


「……?」


「蔦は剣で切ると動きが止まった。再生もしなかった。そして、攻撃もやんだ。つまり、切ってしまえばいいということだ」


「私は誰と組めばいいのだ」


 これからは脳筋剣士とは呼ばないようにしよう。イディアは冷静な判断ができる大事な仲間だ。


「シンティの組みに入ってくれ。サクラさんの所にはイグニスがいる。おれの所にはソフィアがいる。剣士がいないのはそこだけだ」


「了解した。カナデ、ソフィア様をよろしく頼む」


「ああ、任せろ。絶対に守ってみせる」


「つまり、襲ってくる奴らを全て切ってしまえばいいって事だな」


 イグニスが(さや)をさすりながら上唇を舐めた。


「ああ、遠慮はいらない。もう、この島の生態系は限界を超えている。いずれ、大がかりな駆除(くじょ)が必要になる」


「カナデ。魔石は取れるの」


 シンティが気になるようだ。


「それもわからない。植物だからな。基本、活動停止はない。霧散したときはきっと魔石を残しているはずだ。それで判断だな」


「分かったわ」


「本当に危険なときは、瞬間自動神装結界が発動するから安心しろ。この力は絶対に間違いはない」


「うむ、俺様も保障しよう」


「次は、捜索する範囲だ。ここは西側海岸付近だ。このサークルが起点になる。ここから『紅』が海岸沿いを南に向かっていく。『白』は北側だ。つくも(猫)とおれたちは真ん中を行く。連絡はつくも(猫)に念話だ。質問はあるか。よし、捜索開始だ」




「ベニザクラ『白銀』戦闘型よ」


 サクラさんが制御木琴を奏でた。


 双子の樹魔は、結合していた部分を解除した。そして、するすると車体を縮めていく。


 樹魔車両が真ん中で割れた。そして、割れた部分を装甲板が広がり(ふさ)いでいく。


 車軸は、片輪が12本の触手になりそれが4つに集まりねじれる。


 そこには、4つの触手を持つ2台の戦闘型樹魔車両が整然と立っていた。


「『紅』発進よ」


 4本の触手がシャカシャカと動き出した。マーレは車内だ。イグニスは、身体強化を全身に掛け、火属性の魔法剣を持っている。体内魔力で火力を強化できるイグニスの相棒だ。


 今回は燃やすわけにはいかないので、刀身(とうしん)を超高温にした、切るに特化させた仕様にしている。イグニスならではの特性魔法だ。彼は、A級属性魔法使いなのだ。


「イグニスの本気モードを久しぶりに見たぞ。やっぱり魔法使いは怖いな」


「ふん、私はスピード特化だ、師匠には及ばないが近づく奴らは全て切る」


「イディア、頼りにしている」


 少し顔を赤らめ、フンとそっぽを向いた。


「イディア、その剣をちょっと貸せ」


 猫が剣士に命令をしている。


 神獣様の命令だ、カクカクした動きで剣を渡した。


「ふむ、よく手入れがされたいい剣だ。さて、……よし、終わった」


 いったい何をした!


「おまえは、神力剣が欲しいと言っていただろう。その通りにしてやったぞ」


 なんですとー。


「ねこちゃん、仕様は?」


 さすがはシンティ、そこ聞きたいですよね。


「イメージの再現だ。神装結界みたいな物だ」


「カナデがやっていたあの焼き肉の網のこと」


「まあな、使い方はイディア次第で無限だ。ただ、いきなり使いこなすのは難しいだろうから、今は、刃こぼれがしない、折れたり欠けても自動的に修復するぐらいだな」


「……」


 十分すごいよ。国宝クラスの魔法剣だよ!


「つくも(猫)殿、かたじけない! これで仲間を守れる。感謝する!」


 どこの時代劇だ。最近の多言語翻訳君の変換がおもしろすぎる。


「『白』私達も行くよ」


 車内にいるのはシンティとクエバだ。リーウスはイディアの目と耳になる。イディアは最強の剣士だ。こっちも問題ないだろう。いざというときは、クエバがいる。彼女の判断は的確だ。


「エル、組みを変わってもらってありがとな」


「戦闘型は2人乗りだからね。ぼくよりクエバさんの方が適任だよ」


「こっちは剣士ソフィアがいるからな。安心しな」


「任せてください。剣技には自信があります」


「ソフィア、おまえの剣も『神力剣』にしておくぞ」


「え、あ、はい、どうぞ」


 さっきのやりとり見ていなかったな!


「ほれ、終わったぞ」


「あ、はい、ありがとうございます?」


 後でゆっくり使い方を教えてやるとするか。


「では、出発だ」


「わかりました」




 毒性植物魔物の島の探索が始まった。





次話投稿は明日の7時10分になります

活動報告あります

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