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026 生徒会の役員達




 生徒会室は戦場になっていた。


 ドアを開けると、「またか」と言う感じでギロッと(にら)まれた。


 私だと確認すると、生徒会長が、


「よろこべ、味方だ、援軍だ!」


 そう言って、そそくさと椅子に座らされた。


 どうやら、『サクラシア(はい)』の申し込みが殺到(さっとう)していて生徒会メンバーがいらだっているようだ。


「カナデ君も被害者であることを私は知っている。しかし、他のメンバーは事情を知らないんだよ。許してやってくれ」 

 ああ、睨んだことか。うん、いいよ。気持ちは分かる。


「気にしないでください」


「会長、他の仕事ができません。何とかなりませんか」


 メガネをかけたショートカットの子が詰め寄る。


「いや、どうしようもないでしょう……だってリネス、王命だよ」


 なるほど、状況は理解した。


「申し込みの時間帯を決めましょう」


「……」


「お昼休みの12時から午後1時までと課外活動時間の午後4時から5時までしか受け付けないことにしてください。実行委員長の名前で告示すれば、それも王命になります」


 メンバー達の表情がみるみる希望に満ちたものになっていった。


「当番制にして受付業務と役員業務を分けましょう。それでかなり状況が改善されるはずです」


 まるで神をあがめるような目で見つめられた。


「賢者様。紅茶はどのような銘柄(めいがら)がお好みでしょうか」


 ポニーテールの女生徒が静かに(ひざまず)いていた。メイド喫茶か!


「会長、早速実行委員長に進言(しんげん)してください」


 やや、神経質そうな目をした男子生徒が()かしている。


「おう、任せておけ。今すぐ行ってくる」


 会長が、そそくさと出ていった。




「きみ、優秀だね。ホントに冒険者なのかい」


 冒険者に対する認識はそんなところだろうな。


「冒険者カード見せましょうか」


 ちょっと、皮肉(ひにく)を込めてそう言うと。


「本当かい、ぜひ見せてくれ。1度見てみたかったんだ」 

 素直ないい子だった。


 (ゴールド)スターの冒険者カードを取り出して机の上に置く。


「触ってみてもいいかな」


「いいですよ。手で持ってもらっても構いません」


 恐る恐る手に持ってから


「これで活動停止だ!」


と、芝居がかって隣の女の子の頭を触った。


 足を踏まれていた。


 トントンしながら、「ありがとう」と言って返してくれた。


「おれは、ミエール、庶務担当だ」


「私は、ポニソール、書記よ。ポニーって呼んでね」


「私は、サンテリネス、リネスでいいわよ。会計をしています」


「今はいないけど、副会長は紹介の必要ないわよね」


 私がうなずくと、


騎士(ナイト)君、生徒会にようこそ。歓迎するわ」


 生徒会のメンバーがにっこり笑った。


 いい人達だ。ここでも楽しい時間が過ごせそうだ。


「おう、許可が出たぞ。告知文を張り出してくれれば、そこにサインしてくれるってさ、それで王命になるらしいぞ。すごいな」


 会長がにこにこしながら入ってきた。その後ろにはソフィアもいた。これで、生徒会役員が全員集まった。




「賢者様も仲間になった。もう、何も心配することはない」


 黄色いポーションを片付ける生徒会長。


「それで、申し込みは今どれぐらいの人数なんですか」


『本日の受付は終了しました』の札をドアノブにかけていたエミールが答えた。


「ざっと50人位かな」


「そうね、だけど、まだ分類していないから、種目別の人数は分からないわ」


 ポニーが用紙の束をトントンとしている。


「それでは、その作業から始めましょうか」


 ソフィアが立ち上がった。




 仕分けの結果、『武術』が5人、『芸術』が3人、『魔法』が45人だった。


「初日でこの人数だから、これからもっと増えそうね」


 ソフィアがそう言うと、


「意外だな、そんなに集まらないと思っていたよ」


 会長が首を傾げた。


 おれもそう思っていたよ。


「これもリアスの戦略よ。この機会を利用して、有能な人材を集めようとしているの」


 ソフィアが事情を説明してくれた。


「殿下達を予選免除にしたのは、彼ら相手では対戦を嫌がる生徒が出るからよ。それから、リアスが用意する対戦相手は、みんな一流の人たちになるわ。つまり、自分の腕試(うでだめ)しができるって事よ。それにね、この大会に名乗りを上げるぐらいの気持ちがないと、10層攻略メンバーにふさわしくないわ」


 まいった、完敗だ。そこまで計算していたのか。


 やっぱりリアスターナはあのタヌキ(ラウネン)の親戚だ。間違いない。


「それでね、大会受付業務は、実行委員会のメンバーがしてくれることになったの」


 手を叩いて喜ぶ生徒会役員達。


「ただね、ジェイド様がときどきこの部屋に遊びに来るようにしてほしいとお願いされたの。どうかしら」


 ソフィアが済まなそうにこちらを見た。


「ジェイドは、ちょくちょくお手伝いに来るつもりでいますよ」


 私の言葉に目を輝かす、生徒会役員の女生徒達。


 いろいろな事に見通しができたことで、生徒会長の顔色もいい。


「では、当面の仕事の役割分担をしておこうか」


 会長が司会の会議が始まった。


私の生徒会での仕事は補佐(ほさ)になった。つまり、何でも屋だ。いろいろ相談に乗ってほしいようだ。すっかり賢者様扱いだ。


 生徒会室での用事も終わったので、学院内をぶらぶらしてみることにした。






次話投稿は明日の7時10分になります

大樹の森編『偉業の報酬』12時10分投稿

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