表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
124/131

123 赤いロボット




「名前は何て言うの」


 ソフィアが女の子に優しく話しかける。


「ネーヴェ」


「ネーヴェちゃん、お父さんがいる場所は分かる」


「うん、みんな同じお部屋にいるよ」


「そこまで案内できる」


「怖いお兄さんが入り口にいるの」


「ふふふ、大丈夫よ。怖いお兄さんより私の方が強いから」


 実力に裏付けされた強者のみに許された微笑みで優しく女の子に話しかけるソフィア。


 姉と同じ顔で笑っていた。


 姉はいつも自信たっぷりで私に命令してくる。自分が言っていることは絶対に正しい。だから(したが)え。


 そして、姉が判断したことで間違っていたことはない。必ず私の(ため)になることばかりだった。


 姉さん。会いたいな……。


 おれ、感謝しているよ。


 ソフィアに姉の姿を重ねている自分に気がついてしまった。


「カナデさん。私の顔に何か付いているのですか?」


「いや、ちょっと昔のことを思い出していただけだよ」


「そうですか? |監禁場所は赤い屋根の家の中みたいです」


 教会に似ている建物か。敵の本陣(ほんじん)とみていいだろう。


「よし、乗り込むぞ」


「はい!」




 屋根に十字架があったら本当にこれは教会だな。いや、建物の大きさなら大聖堂や神殿という所か。


 赤い(とが)った屋根に白い建物。周りには樹木が植えられている。


 コードのようなものが付いている灰色のロボットがぐるりとその建物を囲んでいた。1000体いるだろう。全ての腕に鉄砲が付いている。単発とは言え、1000体が隊列を組んで撃ち込んできたら、この世界の軍隊では全滅するだろう。


「コードが付いているから、この国だけでしか使えないんだな」


「はい、これだけの戦力があるのに他国に攻めてこなかったのはこれが理由ですね」


 ソフィアの言う通りだ。


 無線型も赤いロボットがいないと制御できなかったのだろう。無差別に鉄砲で攻撃されたらたまらないからな。


「ソフィア、赤いのは人間を攻撃できないように制御されている。敵ではない。攻撃しなくていい。そして、子分と呼ばれていた灰色の人形も、赤いのがいる限り攻撃はしてこない」


「わかりました」


「コード付きは全て破壊だ。あれは存在してはいけない」


「はい」


「さて、お仕置きの時間だな」


 私がニヤリとしてそう言うと、ソフィアも怪しく微笑んだ。


 チン!


  音がする度に、有線ロボットの首と鉄砲が付いている腕がポトリと地面に落ちていく。


 チン!


「うわ、なんだ、腕がないぞ。うわ、頭も落ちた。どういうことだ」


 1人の操縦者で50体のロボットを操作できるようだ。自分の分担する全ての個体が使い物にならなくなりぼう然としている。


「ソフィア、もう使える人形は残っていないよ」


 ホークから状況が届いた。


「よし、このまま進もう」


 兵士の出入りのためだろう、中へ続く両開きの扉は開いている。


 建物の中はひやりとしていた。入り口のほうはまだ兵士達が大騒ぎをしている。それだけに、大聖堂の中の静けさが不気味だ。


 人はいないのか。


 スーと、鷹が床を滑るように滑空(かっくう)し、ソフィアの肩に止まった。


 お疲れ様と、軽く頭を撫でる。 


「ネーヴェちゃん。お父さん達がいる部屋はどこ」


「わかんない」


 怖いお兄さんはさっきのやつらのことか。


「探すしかないな」


 長い廊下を奥へと進んでいく。人の気配はない。


 ガチャリ、ガチャリという、機械音が聞こえてきた。廊下の奥から赤いロボットが歩いてくる。(まる)みを()びた円錐形(えんすいけい)の頭をクルリクルリと回している。何かを探しているようだ。


 認識阻害にんしきそがいの神装結界はずっと発動させたままだ。女の子にも適応させている。人間ならば認識できないが、ロボットならどうなるのだろう。


 ピタリとロボットが止まった。ピコピコと目の部分が点滅している。


「タンキュウシャ サマ ハッケン シジ ヲ マチ マス」


 赤いロボットはそのまま動かなくなった。


 ロボット相手には認識阻害にんしきそがいは効果がないな。


 まあいい、指示を待つというなら命令をしてみよう。


「この子の親を探している。案内できるか」


「リョウカイ シマ シタ」


 ガチャリ、ガチャリとロボットが歩きだした。


 やがて、1つの部屋の前で止まった。


「ブキ ヲ モツ モノ ハ ハイジョ シテ アリ マス」


 床の上に、白い服の男達が丸い拘束具(こうそくぐ)のようなもので(しば)られ転がっている。恐怖で言葉は出ないようだ。


「中に入ってみよう」


 ドアノブを回して扉を開けると、中には30人位の人間が床に座り込んでいた。その中の1人の女性が、立ち上がり走ってきた。


「ネーヴェ、無事だったのね。心配したのよ」


「赤い子が助けてくれたの」


 ネーヴェが嬉しそうに赤いロボットを見上げていた。


「レームスさんのお世話をしていた人たちですね」


「はい、そうです」


「ここ以外の部屋にも仲間はいますか」


「いいえ、ここだけです」


「わかりました。ここは危険ですか」


「赤いロボットさんが守ってくれています」


「わかりました。それなら移動しない方がいいですね」


 赤いロボットは立ったままだ。次の指示を待っているのだろう。


「おまえの仲間はどこにいる」


「ブキ ヲ モツ モノ ヲ コウソク シテ イマス」


「何体いる」


「ヒャク タイ デス」


 一体破壊しちゃったからな。残りは99体か。


「連絡はできるか」


「カノウ デス」


「10体でこの部屋を守れ」


「リョウカイ シマ シタ」


「有線ロボットの攻撃に耐えられる体か」


「ジュウ パツ マデ タエラレ マス」


 あれだけの数だと被害が出るな。


「これからの有線型ロボットとの抗戦(こうせん)を禁止する。灰色ロボットを(たて)にすることを許可する」


「リョウカイ シマ シタ」


 目の部分のライトが点滅している。連絡を取っているようだ。


「サンビャク ニジュウ ヨン ビョウ デ ジュウ タイ ノ ハイチ ガ カンリョウ シマス」


 5分24秒か。けっこう早いな。


 子分の人型を100体連れてきたので部屋の守りはこれで大丈夫そうだ。


「ネーヴェちゃん、ここで待っていてね。お姉さん達は用事があるの」


「うん、わかった。赤い子がいるから平気」


 建物内に人がいなかったのは、赤いロボットがみんな拘束したからのようだ。外にいる兵士は、別の棟にいたので(まぬが)れたのだろう。


「おまえは1号だ。記録しろ」


「キロク シマ シタ ワタシ ハ イチゴウ デス」


「おまえのリンクはどこまで繋がる」


「リカイ フノウ デス」


「仲間と何メートルまで離れることができる」


「ツウシン モード ハ サンゼン メートル デス」


「通信を切ればどうなる」


「ジリツ モード ニ イコウ シマス」


「壁の外に出られるか」


「ケンゲン ガ アリマ セン」


「なるほど、わかった」


「1号はおれと行動しろ。壁の外に出ることを許可する」


「リョウカイ シマ シタ」


「ソフィア、サクラさんと合流する」


「はい」


「神装力第三権限開放 神力風の道 認識阻害にんしきそがいで発動」


 透明(とうめい)に見える風の道が、入り口に向かって伸びていった。


「面倒だから一気に行こう」


 ソフィアを見ると、


「ふふふ、そうですね」


 いたずらっぽく笑っていた。こんな表情もするんだ。いままで気にならなかったソフィアの仕草(しぐさ)に興味が出てきたようだ。何でだろう……?


 1号といっしょにソフィアも飛び込んできた。


「さあ、行こう」


周りの壁がぶれた。




 入り口にいた兵士達は、突然神殿内から風が飛び出していったので、びっくりしている。


 10分ほどでサクラさん達が待機している場所に到着した。


 ストラミア帝国の兵士が5000人隊列を組んでいる。士気は高いようだ。


 ベニザクラ号が見えた。リムジン型になっている。


 ジェイドとエルが外にいた。サクラさん達は中か。


「お待たせ」


 突然現れた赤いロボットにびっくりするジェイドとエル。


「レームスさんが作ったゴーレムだ。あの国ではロボットと呼ばれている」


 エルの目がキラリーンと光った。


「詳しいことは中で話そう」


 1号といっしょに乗り込んだ。




次話投稿は明日の7時10分になります

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ