115 ソフィアの恋心 ★
本日2話目の投稿になります
はー、かなわないわ。即決なのね
「気に入ったなら、相棒になってもいいのよ」
白猫さんが私にそう言った。
「できるんですか」
「あなたは特別なの。自分の意志で契約ができるのよ。それが精霊の愛し子なの」
「……」
「よく考えろ。おまえが探求者になると言うことだ」
「あなたはそれを望みますか」
私は考えてしまった。そして、彼にそう尋ねてしまった。
「使命があるはずだよ。その覚悟はあるの」
「あなたが望むなら、どんな使命でもやり遂げて見せます」
「ソフィアが強くなることはおれも望むことだ。でも、決めるのはおまえだ」
「契約します」
これで、彼の役に立つことができる。彼にもっと近づくことができる。嬉しかった。
そして、サクラさんにも追いつけるかもしれない。もしかしたら、並べるかもしれない。そう思った。
はあー、私は考えてしまったのよね。
彼は、サクラさんのパートナーよ。私が知らない歴史を持っている。
二人はお似合い。どちらも、お互いを大切にしたいと思っていることがひしひしと伝わってくるもの。
かなわないな。
彼に感じていた気持ちが恋心ではないかと感じ始めたのは最近。私の家系は剣技一筋。兄たちにも恋愛などと言う浮ついた気持ちはない。
結婚は家同士の都合で決める物。父の命令は絶対ですもの。そんな中で育った私も、誰かに恋心を抱くなど考えもしなかった。
これは、彼の考え方の影響よ。彼といると、今までの価値観が崩れていく。
子どもは大人から守れて当然の権利を持っている。
貴族も平民も人としての尊厳はいっしょである。
権力とは、譲り受けるものではない。自らが努力して勝ち取る物であり、その力を行使するときには公平で倫理的な価値観が必要になる。
他にもたくさんのことを教えてくれる。いままで、こんな人に出会ったことがない。
彼といっしょにいたいと思ってしまった。
「この子の相棒になってくれないかな」
「弱っているのね」
「ええ、このままではこの体を維持できないわ」
「わかった」
即決だったわ。
「今の私ではまだ届かないのね」
「そんなことはないよ」
え、だれ? ジェイド!
なに、どういうこと?
「そうよ、ソフィア。諦めることはないわよ」
今度は誰? シンティさん!
「ソフィア、サクラはねエルフなのよ」
「はい?」
「エルフの結婚観は契約なの。そして、一生のうちで何回も伴侶を変えるのよ」
……詳しくお願いします。
「エルフの一周期は50年よ。そして、サクラはまだ一周期のお祝いもしていないの。つまり、まだ子どもなのよ。人族の感覚で言えば8歳ぐらいかしら」
え、そうなんですか。
「そしてね、サクラもカナデと家族になるのは3周期当たりかなって思っているはずよ」
「ぼくがそれとなく聞いたことがあるんです。カナデさんとは家族になるんですかってね」
この子、やるわね!
「『もちろんよ』って、即決でしたが、『そうねえ、3周期位かなー』ってつぶやいていました」
3周期ということは、150年後よね。人族ならもう世界樹の空に旅立っているわ。
「人族の感覚なら、適齢期まであと数年よ。150年後ならかぶらないわ」
ジェイドがいたずらっぽく笑ったわ。美少年は何をやっても絵になるわね。
「ソフィア、これは、あのバカは気がついていないから言わないでね。じつはね、カナデはもうサクラに求婚をして了承されているのよ。家族公認でね」
「どういうことなんですか?」
「エルフはね、親族が2人以上いる場で『家族になろう』って言うのが求婚なのよ。そして、了承の言葉は『はい』よ」
「ああ、あの時か。ベニザクラ号のお披露目会だね。確かに、カルミア様とツバキさんがいたな。親族2人の条件を満たしているよ」
エルさんもその場にいたって事なのね。
「そうよ。おもしろいから黙っているの。それを知ったときのあいつの顔が見たいのよ」
クククと嬉しそうに笑うシンティさん。でも、今の私には女神様だわ。
「私にもチャンスがあるってことですね」
「もちろんよ。でもね、こういうことに関してはあいつはかなりの鈍感よ」
「はい、自分の価値をかなり低く見積もっていますね」
「かれは基礎研究者だからね。新しい事の発見以外に興味がないんだよ」
みなさん私を応援してくれるのね。希望が出てきたわ。時間はある。ライバルはあの王女殿下ね。やっかいな相手だわ。きっと、王妃もグルよ。私も母を味方につけないとこちらが不利だわ。
うかうかしていられないわね。
10層攻略に一区切りついたときが勝負よ。
うん、私、頑張るわ。
次話投稿は明日の7時10分になります




