「お見知りおき」を考える
「小説家になろう」で作品を読むようになって、作家のみなさんは原則素人さんのはずでも、様々な知識や言い回しを知ってらっしゃることに驚くことが多い。
もちろん、作家さんによって、その知識の範囲はそれぞれなのですが、多くのみなさんが使っていらっしゃる表現で「お見知りおきください」という表現にずっと違和感を感じている。
現実の世界で、どのくらいの方が、この表現を使ったり、聞いたりしたことがあるのでしょう。
少なくとも私は実社会で、この表現を聞いたことはありません。
この表現に一番なじみがあるのが、古いヤクザ映画や任侠物の
「以後お見知りおきくだせぇ」
という言い方
そもそも、<自分のつらをよく覚えておけ>という表現のはずで
今で言うと「上から目線」なので、実生活で使うはずもなく
基本は、「よろしくお願いいたします」だし
他に使うのは
「お目にかかれて幸いです」
「お会いできるのを楽しみにしていました」
「今後ともお目に掛けて頂ければ幸いです」
等々、すくなくとも社会人の初見の場では、
その程度の挨拶のはず
最近の若い人は使うのかとも思ったが、
先日若い人ばかり集まる名刺交換会でも
当然、そのような表現をされる方はおらず
では、なろうで良く描かれる貴族たちの会話で
そんな表現をするかといえば、
私も皇族に類する方や旧華族の方と接して会話を
したのは亡くなった「髭の殿下」とその奥様、
九州の男爵家の子孫の方くらいなので、
しかとは言えませんが、もちろん
そんな失礼な表現はこちらからはしませんし
先方からもありえません
で、実は、最近、実際にこの表現を聞く機会に
巡り会いました。
落語の中です
お殿様が町人の娘にお手つきをした結果、世継ぎ誕生
町人の兄が殿様にお目通りする話で、
間に入った御武家さんが、兄に
「以後、見知りおかれよ」
と呼び掛ける場面がありました
置かれた立場から考えると
これが正しい使い方でしょう
現在、多くの作品で「お見知りおき」が
使われている結果、コミックでもアニメでも
使われているようになっていますが、
今後、この表現は、どういう扱いになっていくのか
興味もありますし、なろう読者の方の感想が
聞きたいとも思っております。