2:死の意義 パートC (Being Of The Death Part C)
部屋に戻り、家族がいないことを確認してから、俺は祓い機をポケットから取り出し、構え、ダイアルを緑色に揃えた。手順が一部逆な気もするが、今頃どうでも良い。
あの霊体と呼ぶべき代物は、今どこにいるのだろう。もう逃げたのだろうか。その時、橙色の「呪い」が現れるのを確認した。俺は、直感でそれを先程に見た緑色の奴だということに気づいた。
自分がそれを知覚した間も無く、祖母の私物の入った箱が浮き始め、俺に向かって飛んできた。間一髪で避けたが、その中には、確か祖母が昔からとっておいた物があるはずだ。しかし、箱を見たら中に何も無かった。つまりこの「呪い」は少なくとも祖母を良く思っているという事だろう。
俺がそう考えている間に2度目の攻撃が飛んできた。しかし飛んできたのは大量の砂埃だった。
もし俺が今現在全裸であれば全く影響は無かったのだろうが、サイアクなことに、今日はセーターを着ていた。勿論、自分の淡いピンク色のセーターは、忽ち埃で灰色になってしまった。それは、自分がオキーフ一家の「卑劣な者」ということを暗示しているのだろうか。
とにかく、俺は祓い機を構え直し、ダイアル位置をオレンジに揃え、また次に攻撃が来る前に、それを撃った。出たのは前のよりも随分淡いオレンジ色の雷であり、まるで自動追尾機能が搭載されているかのように「呪い」に直撃した。
その数秒後、頭の中に文字列が入ってきた。 WHY DID YOU HURT MEの5語が自分の頭の上に何度も重なった。その感覚が初めてのものであり、出鱈目が最初から現実であったことを、俺に知らしめた。さて、この質問にどのような返事をしたらいいのか。何を答えてもそれの逆鱗に触れることは間違いないだろう。
何かを口に出そうと考える前に、何ゆえか呪いにはその事が伝わっていた。これが、テレパシーという物なのだろうか。呪いは色が少し薄まった。
「コイツはあなたに恐れている。色がその証拠よ。」
そばからアレックスが声をかけた。
「恐れてるってなんだよ。あっちから物を荒らしたりしていたんじゃ無いか。」
「でも確か祖母の部屋と風呂場だけよね。多分昔のように暴れたかったところで、自分の孫がいきなり攻撃したことに恐怖を覚えたんじゃない?」
「…そうか。」
そう会話するうちに、薄い橙色の「呪い」は、異なる言葉を自分の脳内に送り込んだ。
WHAT DO YOU WANT WHAT DO YOU WANT WHAT DO YOU WANT…
俺に対して、何を要求しているのかを問うている。返答の方法が分からない。
「返答するなら、ただ『こう答えよう』考えるだけでいいわ。」
助言の通り、自分はこう考えた。
ー家を守ってくれるのであればコイツの行為を許すことをコイツに伝えたいー
こう考えて間もなく、魂は色を緑により近しいものに変え、飛び回った。「公平な契約」は成立したという事なのだろうか。
「どう、契約は成立した?」
「まあ、おそらく。」
ーー
それから数時間が経った後、オキーフ一家は「災禍」に備えていた、「屋敷を取り壊してアパートを建てられる」という災禍に。これに関しては前文に記したため、わざわざまた深掘る必要はないだろう。
ドアベルが鳴る。現在の家主であるジャスパー(俺の母親の双子で男)がドアを開ける。ジャスパーの目の前にいたのは、濃い青色のスーツと対照的に、ネクタイは暗い黄色をしていた事以外には本当にありふれた白人のビジネスマンとしか形容できない存在だった。名前も知らない人を、伯/叔父は客間に案内する。
でもそこで予期せぬ事態が発生した。ビジネスマンの真上のシャンデリアが落下し、そのまま彼は死亡した。
祖母の死から数ヶ月しか経っていない中、私と私の家族はまた人の死を、自分たちの目の前に見せつけられたのだ。
契約は慎重に行うことは、私たちの世界においても重要である。




