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始まりが終わり

作者: つむぐいと

午前0時 真夜中に始まる恋物語



僕の初恋は2歳頃だった

近くに住む同い年の美保みほちゃん


大きくなったら結婚するねと

ずっと、ほっぺにチュウをしてたらしい

美保ちゃんのことは名前も顔もぼんやりと

覚えているも


ままごとのような感情だったのかな



本当の恋と呼べる、初恋は中学2年生



校外学習のキャンプや旅行でよくある

就寝時間になると布団の中で友達と

好きな子を言い合う、そんなゲームのようなもの


その時に初めて友達に公表してから

だんだんその気になっていった


恋に恋してた中学生だった


みんな、名前を言っていくとやっぱり

人気者は重なる



僕の番になって2組の「諫山明美いさやまあけみ」さんというと

みんなは、歓声をあげるでもなく

驚きもなく 反対もなく、表向きは

いいんじゃないのって言ってくれるが…


彼女にはわるいが、みんなには

人気はそれほどなく

おとなしい、地味な子だねって



僕はそれでも彼女が大好きだった



その時は、まぁなと半ば適当に返事しながらも


え?大人しくて可愛くて好きなんだけど

と力説していても、誰も聞いてくれず

次の番に回っていた



みんな興味ないのかよ まぁそれの方が

競争相手もなく僕には都合が良かったが

ちょっとだけ寂しかった …


そんなみんなの告白タイムは

だれかの寝息で終了

一日はおわり、キャンプは終了


その日の男同士の勝手な公言を境に

僕の初恋は自分一人で舞い上がりはじめていた


募る思い、好きなんだというトキメキ

思春期の複雑な感情



クラスは違えど体育祭とかで

並んでいると 少しちらちらと意識する

向こうも見ている?


もしかして、告白タイムの噂がまわったのか

なんて、少し意識してくれてるのかも

と勝手に都合よく勘違いしていた …



僕は学校ではバレー部

学校とは別に大人たちの野球チームに

入っていた



一応甲子園をめさす球児だった……一応


どちらかというとバレー部は

身長が延びて欲しくて期待して入部

本気は野球だった


彼女も女子バレー部


お互い、ふたりともバレー部では

順レギュラー


同じ体育館では隣同士のコートだった



野球に専念する為、2年の終わりに退部

彼女は最後まで続けていた



結局、告白する事も何もなくふたりは卒業した



彼女は一駅離れた近くの商業高校へ

僕は学区違いの遠い工業高校へ

進学する事が決まっていた



入学前の

春休み、野球部に入るために

必死に毎日毎晩練習



僕たちは家が近くで団地住まい



僕の家からは彼女が帰る歩く姿が

遠くに見えるほど


歩いて数分の所に彼女の棟もあった



夜、ランニングのあとに彼女の団地の

下で休憩 体操をする振りで5階の

彼女の部屋(多分)の明かりを見て

思いを馳せながらいつも帰る

そんなストーカーみたいな習慣だった



春休みも終わり

そして二人は入学



僕は入部そうそう膝を痛めてしまい

あっけなく野球人生が終了


挫折感いっぱいの僕の癒しはベランダから

彼女が歩いて帰る姿を遠くから見る事だった



これからどうしようかと考えながら 

ベランダから外を眺めていると

商業高校の制服を着た彼女がゆっくり

歩いて帰宅する

(これまたストーカーみたいな行為)



大きなボールバックを持って

ゆっくりと



ああ高校でもバレー部に入ったのかなと…


俺は何をしているんだろう

これから何をしようかなと




何を思ったのか、この募る思いを

打ち明けよう!と

彼女に告白しよう!と



けど野球部を挫折して何も

やる気が出ない状態で

彼女に告白出来る身分だろうか



悩んだあげく

そんな事より中学生の時の

素直な気持ちを今も好きな彼女に

思い切って打ち明けたかった



帰宅部の僕は毎日彼女の帰りを待った

ある日彼女の帰りをみた僕は


走って追いかける


走ってくる僕に気づいて

立ち止まってくれた 諫山いさやま


ひさしぶり


ひさぶりだね「まなぶ」

(中学の時は男女関係なく

 みんなに名前で呼ばれていた)



あのさ、これ!と渡して

手紙を読んでほしいんだけど


「中学の時から好きだったから

 つき合ってくれませんか」と



直球勝負に出た


返事は即「ハイ」だった



うれしさのあまり

彼女を置き去りにその場を

立ち去ってしました



今から思えばなんとも情けない告白


自分勝手な告白だった



それでも何度か手紙を交換した


時代を感じる文通というものだろうか?



彼女も実は中学2年の頃から

意識してくれていて 、お互い

好きだった事を知った


めちゃくちゃ嬉しかった



彼女は選手ではなくバレーボール部の

マネージャーをしていた

選手としては限界を感じて大好きな

バレーボールからは 離れられなかったので

マネージャーになったそうだ


根っからのバレーボール大好き女子で



今みたいに

プロバレーボールリーグはなく


当時、人気だった

社会人男子チームの試合を応援に

行くほどのファン



僕の野球の事も話をしていた


優しく慰めてくれたのを覚えている




次第に土日も彼女は

バレーボールで忙しく


僕も帰宅部からアルバイト部へ

転向して忙しくなっていた



帰り道に手紙を渡す機会も減り

しゃべる事もなくなっていた



これは別れ?


別れるもなにもデートもした事が

無くてつき合ったという思い出は皆無


告白はして、一応相思相愛だったのに


こんな事もあるのだと



もともと大人しく控えめな

彼女だったから


僕が積極的にしていたらもっと

変わっていただろう



告白して


付き合って


デートして


手を繋ぎ


キスをして


プロポーズして


結婚して


赤ちゃんを授かってたかも



ちょっとしたことで大きく

人生は変わっていたかもしれない



いや、もちろんこの方が良い道

だったのかもしれない



運命なんて不思議なもので

これが導かれし運命だったんだろう



ひとつ言えるのは彼女ともっともっと

楽しい時間を過ごせなかった事は

後悔している


ただ、それがなかったから

別れも自然に任されたのかもしれないが


人を思う心が小さかったあの頃の

自分に馬鹿野郎と言いたい



告白して結果OKだったのに

それでなにもかもが終わっていた



始まりが終わりだった


こんな事もある、甘酸っぱくもない

それが僕の初恋物語




つむぐいと

では詩をメインに投稿してます


★もし気に入っていただけたり、次作が気になる!

と思って頂けましたら

ブクマや下の⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎で評価していただけるととても励みになります……!

感想もお待ちしております

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