96回目 霊能者集団 対 超能力者
トシキの侵攻に、隣接する地域は大騒ぎになっていく。
なにせ、次々に連絡が取れなくなる者が出てきているのだ。
それらは霊能力による探知からも消えていく。
「霊魂ごと破滅してるんだ……」
霊能者達はその事に気付いて呆然となる。
これはまずいと防衛体制をとっていく。
宗教団体は拠点の神社や寺院で儀式を始める。
土着の民間信仰もおなじように儀式を行っていく。
単独で活動してる霊能者達も、より大きな団体や組織に合流していく。
凶悪な敵を前にして団結していく。
そうしなければならないほど、トシキという存在は脅威だった。
だが、そうした抵抗も全てが無駄になる。
迫るトシキを止める程の力を持ってる者はいなかった。
行く手を阻む霊能力の防壁も。
呪術による攻撃も。
神霊への祈りも。
全てが粉砕されていく。
神社や寺院の防壁は呆気なく破壊され。
土着信仰の中心となる聖地も崩壊する。
神官や僧侶、呪術師に霊能者達。
それらはやってきたトシキの超能力に捕らえられる。
そして記憶を調べられ、霊魂を吸収されていく。
抵抗や攻撃が全く無駄というわけではなかった。
張り巡らせた霊力の防壁は、トシキの攻撃を数十秒ほど阻んだ。
呪術による攻撃は、トシキに数秒ほどの防御を強要した。
その間だけ、トシキの行動を阻止する事に成功する。
しかし、撃退する事はかなわなかった。
既に何十万という霊魂を吸収してるトシキだ。
それによって上昇した能力は、霊能者達を上回る。
単純な力の差だけで圧倒している。
負ける要素がない。
更に加えて、手に入れた力の使い方でも上回る。
霊能者達も様々な手段を用いていくが。
その技術の巧緻さでもトシキは互角以上の戦いをしていく。
超能力の使い方については、トシキも考えている。
どうすればより効率的になるのか。
どういう事が出来るのか。
それらを常に考えている。
霊魂を吸収する事で増大した能力で。
それが何百年や何千年と続いてきた伝統に対抗する。
培われた様々な研鑽や努力、導き出した答え。
これらの積み重ねをトシキはしのいでいく。
県境にあった神社や寺院、聖域などが破壊されていく。
連絡が途絶える事でそれを察知する霊能者達は、戦慄を強く覚えていった。




