93回目 内部に残った残滓
「ひぃ────!」
悲鳴をあげる霊能者。
県内にいる偶然目覚めた者。
その家に押し入り、処分していく。
政府に通じているのだからしょうがない。
そうでなくても、トシキと対立していた。
政府と直接の関わりがなくても、トシキを危険視する者はいる。
それらは近隣の霊能者と接触し、対策を考えていたりする。
そして、伝手を通じてより大きな霊能者集団などに接触していく。
神社、寺院、政府などなど。
独立して行動してるというわけではない。
そうした霊能者を潰し、県内を完全に平定していく。
中立なども認めない。
どちらにも協力しないというのは、安全策でもなんでもない。
いつ敵に回るか分からない危険分子でしかない。
そんな連中は根こそぎ潰していく。
今、トシキが出向いてるのもそんな輩のところだった。
どちらにも、どこにも与しないとほざいてる。
自分の独自性や独立性、自立を保ちたいのだろう。
それは分かる。
それに、既に中立でもない。
既により大きな霊能者集団と接触している。
それもトシキへの対応・対策として。
それが友好的な関係を作るとか、傘下に入るというなら分かるのだが。
残念ながらそうではない。
だからトシキは、そうした行動に出た霊能者を始末していく。
敵が増える可能性を先んじて潰すために。
今も目の前にいる霊能者を処分していく。
いつも通りに霊魂を吸収して。
敵も養分になれば役に立つ。
死ねば皆仏というのはこういう事かと思う。
それでも敵対した事への恨みは残ってしまうが。
こうした容赦のない対応をしてるおかげで旗幟鮮明になっていく。
敵か味方、どちらかしか残らない。
大多数が敵に回るが、それは仕方の無い事だと割り切る。
むしろ、少しでも味方になる者がいるのがありがたい。
そうした者達は笑顔で迎え入れていく。
その前に、本当に味方になるのかを調べて選別するが。
そうしないと厄介ではある。
旗色だけ見てトシキに付く者もいるのだから。




