75回目 厄介な味方 4
異常に気付いて行動してる者達。
その大半は大人だった。
有力者というわけではないが、社会に出て働いてる者達が大半だった。
だからこそ、異常に気付いてそれを調べるために動けた。
それだけの能力があった。
会社員に役人に警察官に自営業。
定年退職した老人もいる。
そうした者達が有志として参加していた。
そんな彼らも決して有能とは言えない人間ではある。
無能ではないにしても、特別に秀でた人間ではなかった。
だが、多少なりとも人生経験はあった。
様々な事を見聞きしていた。
ここで迎撃に出るのは悪手だと分かるくらいの見識はあった。
同時に、何を言っても無駄だと分かってもいた。
彼らもその人生で、理性や情緒の無い人間にいやというほど出会ってきた。
事の次第を見極める理性。
相手を思いやる情緒。
これらの欠落した人間がどういうものかを、嫌と言うほど見てきた。
北原にそういった要素を見ていた。
だから誰もが何も言わなかった。
言うだけ無駄だからだ。
そんな彼らが出来る事は一つ。
見切りをつける事だけ。
一般人達は出撃していく超能力者達を黙って見送った。
その大半は生きて帰ってくる事はないだろうと思いながら。
その多くは、小学生や中学生といった者達だ。
そんな子供達が死ぬ事を哀れに思った。
だが、どうしようもなかった。
他の誰でもない、本人達が望んだ事だ。
どうにか出来るものではない。
本人が気付かない限り、止める事など出来はしない。
それよりも一般人達はその後のことを考えていった。
どうせ壊滅する集団の事に関わってはいられない。
それよりも、壊滅した後どうするか。
そちらに目を向けていった。
トシキによるこれ以上の被害拡大を防ぐために。
幸いにして。
あるいは不幸にして。
そういった一般人達の思惑が北原達に漏れる事はなかった。
そこまで北原達の力は強くはなかった。
雰囲気としてある程度掴む事は出来てもだ。
本音を探ることが出来る程ではなかった。
某所でまたコメント欄で話題にあげてくれてありがたい
皆さんも覗いてあげてくれ
http://mokotyama.sblo.jp/article/189354517.html#comment




