73回目 厄介な味方 2
超能力者を束ねる少年、北原。
集団にいる超能力者のほとんど全てはこの少年に従っている。
実際、逃げ延びた者達の中では最大の超能力が使える。
加えて、見た目も結構良い。
中学生ながら身長は170センチを超え、この年頃では高い方だ。
サッカー部でそれなりに活躍していたのあって、名前も割と知られている。
また、勉強も平均を超えるくらいの点数は常に保っていた。
性格的には少々強引なところがある。
それがリーダーシップとして発揮される事もある。
こういう好条件が揃ってるだけに、それなりに評価されている。
超能力者の大半を占めてるのが中学生や小学生というのも大きい。
この年頃の子供にとって、北原のような存在は憧れの対象になるのだろう。
実際、中学生としては優れた能力を持っている。
それは疑う余地が無い。
だが、人を率いる者としてふさわしいかどうかは別だ。
強引な性格は自分の我を貫く悪癖のあらわれである。
芯の強さと似て非なるものだ。
進言を聞き入れる度量の無さをあらわす。
また、他人を顧みる事の無い傲慢さでもある。
その傍若無人さが敵を作る。
また、頭も決して悪くはないのだが。
事の善し悪しを見極める事が出来ない。
よりよい選択肢が何なのかが見極められない。
そういう方面での智慧がない。
能力の有無で人を分けるところもある。
悪人はともかく、どんな人間でも尊重する事が出来れば良いのだが。
そういう所がない。
学校では勉強が出来たり運動が出来たりする人間は尊重するが。
そうでないものは人間扱いしない。
今は超能力者かそうでないかで態度が変わる。
ようは、加害者達と同じ性格・性質を持っている。
そのような人間だけに、問題を抱えていた。
それは、集団にいる一般人への態度にも出ていた。
こういう性格・人格の為だろうか。
集団にいる一般人への態度は冷たい。
暴言を吐いたり暴力を振るうというわけではないが。
扱いが軽いというか、発言や意見を採り上げない、無視をする。
超能力者以外は素っ気ない態度をとる。
そういう部分が、一般人の協力者達からの不満と反感を買っている。
それでも周りの者達は、北原に協力していた。
彼の超能力はそれだけ貴重だった。
他の超能力者も北原に従ってるので、機嫌を損ねるわけにはいかない。
そんな状態にこの集団は陥っていた。
それが今回の悲劇を招く事にも繋がっていく。




