72回目 厄介な味方
トシキ達の行動を止めようとした者達は、ほぼ壊滅していく。
それは彼らが所属する集団も把握していく。
いつまで経っても戻ってこない事で。
「駄目だ、連絡がつかない」
無線機の呼びかけに応答がない。
予定時間までに帰ってこない。
分かるのはそれだけだ。
だが、そうなってるという事は、状況が絶望的だということである。
「たぶん、行った奴等はもう────」
「うるさい!」
怒鳴り声が響く。
「そんな事言うな」
それを聞いた者達は、口をつぐんでいく。
誰もが叫んだ者の機嫌を損ねないようにしていた。
そいつがこの集団の中心的存在だからだ。
数少ない超能力者であり、その中でも群を抜く強さをもつ。
まだ子供であるが、その力は決して無視出来ない。
だから、誰もが気を使っていた。
超能力者であるというのも大きな理由だ。
しかし、それ以上に大きいのは、彼が超能力者の中心人物でもある事だ。
この集団にいる数少ない超能力者。
そのほとんどが彼に従っている。
逃げ出した超能力者をまとめてる人間でもある。
この集団の中心的人物でもあった。
それだけに下手なことは言えない。
異変を察知した一般人達からすれば、貴重な戦力だ。
それがヘソを曲げたら面倒な事になる。
なので、極力機嫌を損ねないようにしていた。
そんな気遣いが必要な人間である。
まだ中学生といった年代なので仕方ない部分もある。
だからこそ、周りの一般人達が気を使ってもいた。
子供に接する大人として。
しかし、そうした遠慮や配慮が間違いを誘発する。
今回の件については、間違いなくそうなっている。




