70回目 無謀を無理して実行して無茶を続ける
何も考えてない。
そうとしか言えない事をしている。
記憶を見たトシキの感想はこれしかなかった。
敵も色々考えてこういった決断を下したと思ったのだが。
そうではなく、最初から表に出てくるつもりだった。
記憶の中にある敵はそんな態度をとっている。
「このままじゃ被害が広がる」
「すぐに助けにいかないと」
といった声ばかりが上がっている。
もう少し考えて行動しないのかと思った。
しかし、そんな声しか上がらず、作戦らしい作戦も立てない。
効果的に動き、損害を抑える。
そういう考えはどこにもない。
「誰かが死ぬ前に助けないと」
確かにその通りだ。
だが、その為に何をするのかが無い。
「とにかく、急いで助けにいこう」
急ぎたいのは分かるが、どうやって急ぐのか。
車を使うのか、走っていくのか。
だいたい、助けるにしても、どうやって助けるのか?
トシキとその仲間を戦って倒すのか?
出来るならそれが一番だろう。
だが、能力の差がありすぎる。
普通に戦ったら勝ち目はない。
また、戦って撃退する事が出来なければどうするのだ?
守らねばならない者達をどうやって守るのか?
その場から逃がすのだろうか?
だとして、その方法は?
こういった事を何一つ考えてない。
作戦も何もなく、ただ危ないから助けにいこうという思いだけがある。
それしか考えてない。
それで突撃して、トシキに捕まって倒されていく。
いったい何がしたいのか分からなかった。
「思いつきだけで行動してるな」
そうとしか言いようがなかった。
何をやるかはもう少し考えるべきではないかと思う。
仮に思いつきを実行するにしてもだ。
それを成功させる方法は考えた方が良いと思う。
なのに、それすらないのだ。
「何を考えてんだ?」
そう思ってしまう。
何も考えてないのだろうとが。
それにしたって考えがなさすぎる。
これで成功したら奇跡というものだろう。
もちろん、成功などするわけがない。
トシキに見つかった者達は全滅。
貴重な要員を失ってしまっている。
これが陽動ならまだ分かる。
あえて捨て石にしてるのかもしれない。
そして本命の作戦を成功させる。
そういう事ならまだ分かる。
捨て石にされた者はかわいそうだが。
その可能性も考えて、他の所に出向いた敵の所に向かう。
そちらでもっと違った情報が得られるかもと。
しかし、それも結局は無駄に終わった。




