65回目 見つけて捕まえて、情報を無理矢理引きずり出す
「なるほど、お前らがそうなのね」
目の前にいる敵。
それを見渡していく。
そうしながらトシキは、それらの思考を読み取っていく。
なぜこんな無謀な事をしたのか?
これはここにいる者達の独断なのか。
それとも、なんらかの作戦なのか。
いったい何をしようとしたのか。
それによって、どんな利益や利点を手に入れようとしたのか。
それらを可能な限り探っていく。
何かしら考えがあって、こうした無謀な事をしたのか?
それとも、何の考えもなく動いたのか?
そこが知りたかった。
分かっていて、それでも敢えて無謀な事をしてるならまだ分かる。
しなければならない程の何かがあるのかもしれない。
だったら、一か八かに賭けるしかない。
しかし、そうではないなら救いがない。
何の意味も無くただただ損害や損失を増やす事になる。
そのどちらなのかが気になった。
相手が何を考えてるのかを知りたかった。
なかなか知りうる機会のない敵の内情である。
こういう機会を利用しておきたかった。
ついでに、目の前の連中がどういう経緯でこんな事をしてるのか。
何があって、どうなってこういう事になってるのか。
その経緯も知っておきたかった。
目の前の連中は、トシキに敵対している。
加害者を処分し、平穏な空間を作り出してるトシキにだ。
その理由や原因も知っておきたかった。
なんで悪人に味方し悪党を結成するのかを。
様々な事を知る良い機会だった。
接していて気分のよくなるような相手ではないが。
敵を知る事は今後の役に立つ。
そう考えて敵の思考を読み取っていく。
時間にしてほんの一瞬。
それだけで目の前の敵の意識を掌握する事が出来る。
ついでに意識を読み取る事も。
なんなら、霊魂の吸収すら出来る。
それだけの事をやり遂げる事が出来るトシキは、ため息を吐いた。
「なんだこりゃ……」
呆れてものが言えなかった。
それだけ敵の内情は酷いものだった。




