62回目 無謀なのか深慮があるのか
逃げ出した超能力者とその協力者達。
それらは弱小勢力である。
ある程度人数が集まってきたが、まだ組織としてまとまってるわけではない。
ようやく少しは形がととのってきたといった段階だ。
そんな者達が行動に出る。
それが信じられなかった。
下手に動けば、瞬時に壊滅する程の規模でしかない。
トシキ達に抵抗するなど、夢のまた夢という段階だ。
そんな者達が表に出て行動している。
それが信じられなかった。
「見つかって攻撃されたらどうするつもりなんだ?」
敵の事ながら心配してしまう。
逃亡した超能力者達が動いても、今のトシキ達なら瞬時に潰せる。
力の差がそれだけある。
にもかかわらず出てきて行動するのが信じられなかった。
勝ち目があるなら良い。
そうでなくても、よほど見過ごせない事態というなら仕方がない。
だが、今の状況はそんな切羽詰まったものではない。
また、まずもって勝利を得る可能性などない。
隠し球でも持ってるのかもしれないが。
「何を考えてんだ?」
トシキには理解しがたいものがある。
「死にたいのか?」
「さすがにそれは……。
そうとしか思えませんが」
情報を持ってきた者も首をかしげる。
それくらい不可解な動きだった。




