60回目 どうせやるならトコトンやる
なにはなくとも加害者の排除。
これだけはなんとしても遂行しなくてはならない。
これが消えるだけで、環境が変わる。
いるだけで害になるのだから、消えれば良くなるのは当然だ。
とりあえず市内全域の掃討は終わった。
細かな残りはあるが、それもあと少しで片付く。
このおかげで市内の人口はおおよそ6割に減った。
加害者と共犯者とその家族と取り巻きと。
場合によっては加害者の住んでた地域全体。
関係する者達を全て処分していったら、これくらいの割合になった。
人がほぼ半分消えた事になる。
これだけの人数が一気に消えたのだ。
騒ぎにならないわけがない。
さすがにこれ以上進まず、様子を見た方がいいのでは、という意見も出てくる。
しかしトシキはここで止まらない。
周辺に更に手を伸ばしていく。
無茶な、という声があがる。
今の時点でも怪しむ者はかなり出てくる。
実際、動き出してる者達もいる。
自分たちのやってる事が見つかる可能性が高くなる。
こういった心配が出てくる。
「逆だ」
トシキはそういった声を一蹴する。
「どうせ騒ぎになるんだ。
だったら、もっと派手にやれ」
まだ書類上は不審死を遂げてる事にはなってない。
現実がどうであろうと、公式記録の上で問題がなければ、公的機関は動かない。
それがお役所仕事である。
現実より建前が優先される。
なので、警察などが大きく動き出す事は無い。
少なくとも、今はまだ。
だったら、それまでに更に多くの処理をしていく。
警察などが動き出す前に。
「処理できないほど大きくなれば、もう手を出してこない」
そこまでやれば良いのだ。
遠慮する必要は無い。
ただし、今はまだ人目に付かないように。
表向きは病死や事故死で片付ける。
おかしなところが一切ないように。
「だから、遠慮無くやれ」
言われてトシキの仲間は動いていく。
今までよりも慎重に。
それでいて、更に活動規模を拡大していきながら。




