6回目 戻ってきたこの時、最初にするべき事
あまりの事に頭が真っ白になる。
悲惨な死に方をしたと思ったら過去に戻っていて。
しかも超能力が使えるようになっていた。
驚くのも当然だ。
しかも、今はまだ10歳。
まだまだこれから様々な事が出来る。
そんな可能性にあふれた時期だ。
今まで過ごした人生をやり直す事が出来る。
死ぬ直前に願った事。
それを実現する事が出来る。
そう思ったトシキは早速動き出していく。
既に新学年の新学期は始まっている。
今日はこれから学校に向かわねばならない。
思い出せば、この頃には既にそれが地獄になっていた。
学校に向かえば、クソガキ共が待っている。
そんな所に行くのは苦痛でしかない。
待ってるのは虐待の数々。
そんな所に好んで出向きたくはなかった。
だが、今は違う。
(この力があれば)
昔とは違う展開もありえる。
そう考えると、胸が弾んだ。
(けど、その前に)
学校には行く。
それは変わらない。
しかし、その前にやっておく事がある。
(あいつを片付けておかないと)
そう思いながら部屋を出た。
時間も丁度良い頃合いだ。
階段をおりて、台所へと向かう。
無言で台所に入ると、そこには母親がいた。
最後にあった、死ぬ前に見た時より若い。
あらためて、自分が過去に来たんだと実感した。
その母親が無言で朝食の支度をしている。
おはようの声もなく。
それをおかしいとも思わない。
言葉のないのは、壬生家の基本だった。
そんな母親に向かって、早速力を使う。
人間相手にどこまで効果があるのか確かめるために。
まずは包丁を浮かび上がらせ、母親に向けて飛ばす。
狙い通りにそれは、母親に突き刺さった。
無防備だった母親は防御も出来ない。
刃物が突き刺さっても、すぐには気付かなかったほどだ。
だが、違和感を覚えたのか、顔をしかめる。
そして目を包丁が突き刺さってる所に向け。
絶叫を放とうとした。
その口に、よそってあったご飯を放り込む。
何かを叫ぼうとした母親は、米が詰まったのか盛大に咳き込んでいった。