58回目 悪人を優先するこの社会
「悪いことをした奴が生き残る」
これがこの社会の現実で事実、そして真実である。
悪さをしたら報いを受ける…………誰がそんな事を言ってるのか?
悪さをしてのうのうと生きてるものは数多く存在する。
なかには捕まって投獄される者もいる。
だが、そんなの全体の一部である。
しかも、何年かすれば社会に戻る事が出来る。
それがかなわなくても、衣食住を保証されて刑務所で生きている。
人を殺したところで、それで死刑になるわけでもない。
たいていの場合、一人殺したくらいでは死刑になるものではない。
たとえそれで投獄されても、死なずに生きていける。
その間の衣食住を、まっとうに生きてる者達に支えさせて。
これらが示す事実は一つ。
悪さをしても咎められる事は無い。
悪さをしてもかまわないというのがこの社会の基本だ。
そんな世の中である。
悪事と呼ばれる事を躊躇う理由はない。
基本的に、露見しなければ、見つからなければ何をやっても良い。
それがこの世の基本だ。
見つかっても、たいした事にはならない。
少なくとも、これで殺されるという事は無い。
トシキもその仲間もこの事実に気付いた。
だからこそ、やりたい放題にやっていく。
超能力があれば隠れて事を起こす事も出来る。
実際、トシキはやった事が見つからないようにしている。
おかげで、やった事が追及される事はない。
下手に騒いで逆らう者は、見つからないように処分されていく。
そして、表面上は事故死や病死で片付けられる。
それで全ては終わる。
誰かが罪に問われる事はない。
警察だってそれは同じだ。
おかしいと感じて調査に乗り出す者はいる。
だが、そのほとんどは事故死や病死で処理される。
拷問の果てに苦痛の中で死んだとしてもだ。
その家族もろとも亡き者にされてもだ。
そうと分かってるから、協力者達も遠慮無く行動していく。
加害者は軒並み潰していく。
邪魔をする者もおなじように処分していく。
そんな世の中である。
悪さと呼ばれる事をして何が問題なのか?
今まで散々放置していたのに、今になって取り締まるというのか?
その方がおかしいというものである。




