57回目 敵を作ってくれたから仲間が多くなる
意外と協力者は多い。
トシキの考えに賛同する者はそこかしこからあらわれる。
さもありなん、とトシキは考えている。
「そりゃ、こんだけ悪さする連中がいればなあ」
これが正直な、率直な感想である。
それだけ悪さが横行している
これらが放置されている。
だから、あちこちに被害者はいる。
あるいは被害者の家族がいる。
自分自身が被害者だった者。
我が子が被害者だった者。
そういった者達に反撃の機会が訪れたのだ。
快く協力してくれる。
加害者を駆逐出来る。
しかも、逮捕される事もない。
やられた分を利子をつけてやりかえせる。
これに飛びつかない者はいない。
折角の機会なので、こぞって参加しようとする。
今まで虐げられてきた者達だ。
自分は痛い目にあってるのに、何の報いもない。
それどころか、加害者は普通に暮らし、あろうことか出世する者もいる。
やられっぱなしでいて、何も良いところがない。
恨み辛みが募るのも当然だ。
そうした者達に巡ってきた絶好の機会なのだ。
参加しないわけがない。
トシキ達の呼びかけに喜んで参加してくる。
そして、恨みを果たした後は協力者になる。
出来るだけの支援をしてくれるようになる。
「おかげで、ようやく普通に生きていける」
大半の協力者がこのように口にする。
今までうっくつとしていた者が消えたからだろう。
気持ちも晴れ晴れとしている。
表情や動作にもそれがあらわれていく。
そうした者達にトシキは更なる援助をしていく。
被害者だった者達の超能力を引き出す。
眠っていた能力を開発していく。
そうして、今後の人生を有利に進めていけるようにする。
戦力増強という狙いもある。
協力者に能力があれば今後がやりやすくなる。
人柄や人間性も見て判断するが、こうしてトシキは有力な手駒を増やしていく。
そうして覚醒した者達は、トシキの願いに応えるべく働く。
たまり溜まった恨みを晴らす機会を与えらた。
その上、超能力まで手に入れる事が出来た。
そこまでしてくれた恩に報いようと励んでいく。
そうして覚醒した協力者は、情け容赦のない態度でその後を生きていく。
敵対する者には容赦しない。
その手段を手に入れたのだから、闇から闇に葬っていく。
邪魔者を決して許さない。
そうするのも、彼らが悟ったからである。




