54回目 集う者達 5
人もいない。
金もない。
技術もない。
知識もない。
道具もない。
人脈もない。
何かしようにも、手の込んだ事は出来ない。
それが集まった者達の現状である。
こんな状況で出来る事などほとんどない。
ならば、まず手につく所からやっていくしかない。
それが人集めだった。
とにかく協力してくれそうな者を探す。
人を増やしていく。
金も技術も知識もなくても出来る事。
手間や時間はかかっても、それでもどうにかなりそうな事。
それは人を集める、人を増やす事。
これしかなかった。
とはいえ、事件は超能力者によって起こされてる、といっても信用されるものではない。
だから、どうやって信じてくれる人を集めるか。
ここが問題だった。
「信じてくれる人を探してあたっていくしかない」
到達した結論はこれになる。
それはそうなのだが、そんな人間をどうやって探すのか。
普通ならこれが問題になる。
だが、逃げ延びた者達と異常を察知した者達には武器がある。
超能力。
この力を使い、協力してくれそうな者を探す。
波長が合うというか、信じてくれる人を察知する事は難しくない。
なんなら、超能力を目の前で見せても良い。
それで少しは信用もされるだろう。
ただ、見世物として簡単に人前にさらすわけにもいかない。
そんな事をすれば、事件を起こしてる者達に見つかってしまう。
追及の手が及ぶ可能性が高まる。
それを避けるためにも、迂闊に超能力を見せるわけにはいかなかった。
見せても問題ない者を探す。
それもまた超能力で探っていく。
その中には、知識や技術、影響力を持つ者もいるだろう。
そこから更に新しい人に繋がっていく可能性もある。
だから、まず人を集めていく。
人を選びながら。




