50回目 集う者達
トシキの狙い通りに、敵対する者達は少しずつ集まっていった。
それらは集団と呼ぶのもおこがましい程の弱小勢力ではある。
だが、着実に超能力者が合流していく。
そうした超能力者は、現状に違和感や不信感を抱く者達と接触をしていく。
超能力者だけでは数が少なく、何も出来ないからだ。
それに、社会的な地位のない者も多い。
目覚めた者の大半が小学生や中学生だからだ。
これは、トシキの活動範囲の影響が大きい。
どうしても小学校や中学校などでの行動が多くなる。
その為、小学生や中学生との接点が多くなる。
トシキ達に共鳴して超能力を開花させるのも、自然とそういった者が多くなる。
あとは、せいぜい近所に住んでる者達くらいだ。
こういった者達の中には、大人でも超能力に開花する者はいる。
だが、近くにいれば超能力者になった事はすぐに分かる。
その時点で味方にならないと分かれば処分している。
この為、逃げ延びた超能力者は少年少女がほとんどだ。
そんな者達が独自に生きていける手段など持ってるわけがない。
トシキに対抗するかどうか以前に、生活をどうにかせねばならない。
だが、下手に表に出る事も出来ない。
逃げ出した超能力者は行方不明の届が出されている。
トシキの考えだ。
これらを、洗脳した超能力者の親にやらせている。
なので、警察に見つかれば家に連れ戻される。
そこにはトシキやその仲間が待っている。
あとは新たな死亡届の対象になる。
それを避ける為にも、かくまってくれる者が必要だった。
その為にも、起こってる事態に違和感を抱いてる者を頼るしかない。
そういった者達に協力を求めていく。
生活手段を手に入れるために。
その代わりに、超能力を提供していく事になる。
こうして小さな小さな集団が出来上がっていく。
それらの情報を掴んだトシキは、あえて逃亡者達に届くように流していく。
合流して一網打尽にするために。
そうと知らずに。
あるいは、知っていても他に道もなく。
逃げた超能力者や、事態の解決に臨んでる者達が集まっていく。




