49回目 逃がすという手段
「いいんですか?」
逃げ延びた超能力者達。
それらが集まっていく。
それだけではない。
多発する死亡事例に疑問を持つ者達と合流していく。
その流れ・動きをトシキはそのままにしていた。
仲間にもそう指示をしている。
それへの疑問が出てくる。
「このままじゃ、あいつら集まりますよ」
「かまわないよ」
トシキは気にもしない。
「むしろ、その方がいい」
ため息を吐きながらトシキはそうこたえる。
「どうしたって漏れる連中は出てくる。
それはしょうがない」
現状ではそういう状況になっている。
そういう連中が支配地の外で集まっている。
「だから都合がいい」
集まってるのは脅威だ。
協力し合えば巨大な戦力になる。
人が集まるというのは足し算ではない。
人が二人集まれば、三人分・四人分といった力を発揮する。
少なくともそういった可能性が生まれる。
なので、出来るだけ集まる前に処分したい。
しかし、それも難しい。
散らばってる者を一つ一つ見つけるのは大変だ。
ならば、逃げ延びた者を合流させた方が良い。
倒す手間は増える。
だが、探す手間は減る。
「見つけて一気に潰す。
だから、しばらくは好きにさせておけ」
監視だけはつけておく。
あとはもう少し集まるまで手を出さないでおく。
誘導もしていく。
逃げ出した先で合流しやすいように。
なので、攻め込む方向を決めておく。
同類がいる方向に逃げるように。
意図的に捜索や攻撃の激しい場所を作る。
そうして敵対する超能力者を追い込んでいく。
追い込まれて逃げた先で、敵は合流する。
そうして合流した者達が結託し、集団になっていく。
トシキの求めた通りに。




