30回目 駄目なら処分するしかない、敵にならないように
(どんな奴なんだ?)
そう思いながら目的地に着く。
何の変哲もない公園だ。
遊具が少しばかりある、ありふれた広場である。
そこから誰かが見ていたはずなのだが。
「いないか……」
トシキがやってくるのに気付いただろうか。
姿はもう無かった。
警戒されてるのだろう。
だが、逃げても意味は無い。
残ってる気配を見つければ良いのだ。
あとはそれを辿っていくだけだ。
すぐに気配を見つけて後を追う。
相手は一人だけ。
そう遠く離れてるわけでもない。
走っているが、さほど速くもない。
超能力で身体能力を上げれば簡単に追いつく。
その前に、周囲にいる者達の意識を操作する。
少しばかり、周囲で起こる事に鈍感になってもらう。
どんな事件が起ころうが気にしないように。
これで何があっても誰も通報などはしない。
効果はたいした事は無いが、それほどたいした事がないので力を使う消耗が少ない。
おかげで、広範囲にわたって影響を及ぼせる。
安全圏をこうして確保して追跡をしていく。
まだ警察などの介入は避けたい。
一般人の注意もひきたくない。
もう少し気付かれずに行動していたい。
より大きな力を手に入れるまで。
あとは超能力で監視していた奴だ。
それを捕まえて、何を考えてるのか聞き出さねばならない。
どんなつもりで監視をしていたのかを。
事と次第によっては処分しなくてはならない。
敵に回るのならば。
(そうでなきゃいいけど)
出来れば敵であってほしくはない。
無駄な殺生をしたいわけではない。
敵なら容赦しないが、そうでないなら放置してもよい。
味方になってくれないのはかまわない。
誰とでも仲良くやっていけるわけもない。
気が合わない、そりが合わないという事もある。
そういう人間が無理して一緒にいるから問題が起こる。
分かれて暮らす。
これが無駄な騒動を生まない方法だ。
みんな仲良くというのは、むしろ騒動と騒乱の原因である。
なので、とりあえず相手の意向を聞いておきたかった。
トシキをどう思ってるのか。
敵対するのか、味方になるのか。
そこを確かめておかねば安心出来ない。
その為にも相手を捕まえる必要がある。
真意を確かめるために。




