29回目 もしもの場合など簡単には想像できないが、起こってしまったなら対応するしかない
超能力が使えるようになってから、様々な事が出来るようになった。
物を動かす事も、思考を読む事も。
その力は強化され、出来る事は更に増えている。
空を飛ぶのもその一つだった。
自分を見つめる意識の目。
念視をしている者を探って飛んでいくトシキ。
この時点ではどう対応するかまだ決めかねていた。
相手が敵対的ならばどうしようもないが。
もし友好的だったらどうするか?
それを全く考えていなかった。
他に超能力者がいるとは思ってなかったからだ。
迂闊と言えば迂闊である。
超能力に目覚めるのがトシキだけというわけではない。
何かの拍子に超能力に目覚める者が出てきてもおかしくはない。
トシキだって、突然この力が使えるようになったのだから。
そもそもとして、死んでから過去に遡ってるのだ。
普通に考えればありえない事である。
思いもしない事が起こる可能性は確かにある。
その対策や対応を考えてなかったのは迂闊と言える。
ただ、味方になってくれるなら良い。
無駄に事を荒立てなくて済む。
しかし、もし相手が敵対してきたらどうするか?
「やるしかないよな……」
悩むわけにはいかない。
敵対するなら戦うしかない。
そうしなければ悲惨な事になる。
それはこれまでの人生が証明している。
今日はここまで




